50.スペースエンペラードラゴン(2)
移動したらなんか光の筋が飛び交っている。視界の先には巨大なドラゴンの周りに散開して囲んだ船団らしきものがいるらしいが遠くてよく見えない。
ドラゴンビジョンで観察してみる。どうやら巡洋艦レベルのサイズの船からビーム兵器のようなもので攻撃している。連射は出来ないみたいだが、物量作戦で攻撃の手が緩まないようにしている。
スペースエンペラードラゴンはやられっぱなしである、敵が小さすぎて散開しているので対応に困っている様だ。まずスペースエンペラードラゴンを助けよう。
マイワールド『スペースエンペラードラゴンの巣』を作って放り込む。
オサナにも行ってもらう。
そうか、こうやって対処すれば俺最強だった。ビビって損した。
言語はどうしよう近くの巡洋艦を乗っ取って乗員の言語中枢をスキャンして言語を得る。
えっと、通信って出来るかな、とりあえず緊急回線をオープンしてもらう。
『宇宙艦隊指揮官と話がしたい、こちらはスペースエンペラードラゴンの代理人だ
こちらに攻撃の意思は無い、対話を求む』
途端に我々に総攻撃が始まった、好戦的な種族かな。痛くも痒くもないけど。
全ての攻撃が反射され(マイワールド経由で方向転換される)敵の攻撃は一瞬で沈黙した。
『攻撃の意思は無いと言ったな、これはどういう事だ』
いや、反撃はするでしょう、普通。
『こちらから攻撃はしていない、そのまま返却しただけだ』
『揚げ足を取りおって、総攻撃再開!(...ガヤガヤ...被害甚大全艦沈黙攻撃できません...ガヤガヤ...)』
『今度攻撃してきたらも此方からも反撃する。』
『攻撃はやめてやる、交渉に乗ってやろうではないか(...総司令官、強がってないで...降参しましょう...)』
『おい、裏の声全部聞こえてるぞ』
『降参だ』
『此方の艦で交渉の場を設ける直ぐに来い』
『分かりましたー』
急に軽くなったな、強がっていただけか。強いものには下手に出るタイプだな。嫌だな。
小型艇が近づいてきた。
隔離された前室に入ってもらいセキュリティチェックを通す。なんか爆弾とか物騒なものが取り除かれて、身体のみ通された。体格がわからなかったのでフリーサイズのダバダバの服に着替えてもらった。
とりあえずシールドに隔離して交渉の席に着いた。
「ようこそ我が母艦に、スペースエンペラードラゴン代理のロイだ」
「宇宙艦隊総司令官のカリュ・ウドだ」
なんか狩人みたいな名前。
「カリュ、スペースエンペラードラゴンから交渉を頼まれたが状況がよくわかっていない説明してもらえるか?」
「我々のコロニーがやつに破壊された」
「多分スペースエンペラードラゴンは認識していない。恐らくゴミに当たった程度としてしか思っていない」
「やつを倒さねば被害が拡大する」
「スペースエンペラードラゴンは温厚な生き物だ(たぶん)彼らには微細な物を認知出来るようにする
今後は不幸な事故は起こらないと思う」
「コロニーには私の家族が居た」
「怒りは理解できるが、全面戦争になればお前たちに勝ち目はない、それこそ被害が拡大する」
「お前は部外者だろうが」
「いや、仲裁者だ、ここにいたスペースエンペラードラゴンは此方で預かる、それで我慢しろ」
「艦隊が壊滅状態で帰還出来ない助けてくれ」
「移送してやろう」
「頼む」
これで一件落着。宇宙戦争終結だ。
件のスペースエンペラードラゴンは『スペースエンペラードラゴンの巣』が気に入って出てこない。
まあいいか。
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「えーん虫にいっぱい刺されたあーー、おっかけてくるしーー」
「よしよし、良かったな助かって」
「長、ありがとー」
「これから虫は避けるんだぞ、我らでは小さすぎて捕まえられんからな」
「長、わかった、でもここ住心地良いな、住もうー」




