42.ベータ5経過観察(13) ロイの方舟(3) 思わぬ副産物
母艦で他の候補地を回り、ドラゴンビジョンと観測ステーションを設置していった。
そして観測ステーションと先発隊基地の教会をドアトゥドアで繋いだ。
こうして一ヶ月の楽しい調査隊ごっこが終わった。季節が変わったらまた実施する予定だ。
マイワールドで、ベータ5精霊国の教会も繋いだが、こちらは何かあった時のために、直結せずに前室を設けた。動植物が影響を与えるといけないので、精霊国との出入り口の様にここでも人間以外は通れないセキュリティを設けた。安全が確認されれば省略しても良いかな。
次回はアリーも連れて行って、現地の精霊さんに会いに行こう。
自生植物の調査結果、こちらと似たものが多い事がわかった。ただし原種に近いもので品種改良が必要みたいだ。これは土魔法と植物魔法の使えるサード主体で取り組んでもらおう。
面倒なことをしている様だが、これはリーダー達が、新天地アルファ4を視察した結果から考えててやっている事だ。新天地アルファ4では食べられる植物が少なかったので、自生していて大量に繰り返して採取出来る所謂雑草から栄養成分を抽出して栄養剤として配給していた。力技である。その技術力には驚かされたが、なんか味気ないと感じたリーダー達が、新天地の開拓は時間をかけて取り組みたいと言い出したのだ。
でも雑草を栄養源に出来るって最強だよね、後で装置をもらいに行こう。
そうだ、フォーリン商会の極新鮮乾燥野菜の別バージョンで極栄養満点サプリとして売り出そう。決定だ。
ふっと後ろを振り返ってもフォーリンは居なかった。流石にベータ5までは来ないか。
ん?
緊急連絡がアルファ3から来た。
「もしもしロイです」
「フォーリンですが、なにか商売予兆を感じたので連絡いたしました」
「さすがです。実は...」
「早速工場の建設予定地を確保します。広さは?」
「まだ入手していないので後で連絡します」
宇宙的距離を超えた特殊能力と言えよう。フォーリン恐るべし。
ーーーーー
「ガロイさん居る? また来ちゃった」
「おお、皇帝なのだからいつ来ても構わんよ、今日はどの様な件で?」
「あの雑草から栄養素取る機械ほしいんだけど」
「今フル稼働で厳しいが、旧型なら1台融通できそうだ」
「ごめんね、技術者も一人欲しいんだけど」
「その技術者ならアルファ3にも行っているはずだ」
「そうなの、分かった。装置の大きさは?」
「旧型だから20m✕50m✕3mぐらいだ、新型は同じ能力で半分以下のサイズだ」
「了解。けっこうでかいね。」
「ああ、各地に配置するには大きくて大変なので新型の小型版を開発したんだ」
「すごい技術力だね」
装置を貰い受けてアイテムボックス、は難しいのでマイワールド『栄養剤工場』に放り込む
アルファ・フォーに戻り、その技術者を探した。現在研究所に居るみたいだ。
早速フォーリン商会へ引き抜き、工場の責任者に任命。増設を依頼した。
難民から一挙に工場長である。出世したね。
必要になる物資は難民船の本隊だそうだ、軌道上から早速確保してきた。
残りの必要な物資の調達はフォーリン商会に任せて。
とりあえず貰ってきたプラントを稼働させてもらった。
雑草と行っても何でも良いわけではなく、元々栄養素が含まれていないと抽出できない。
基本的には材料を洗浄、溶解して毒物と不要物を除去した後、乾燥して錠剤化するプラントである。
適切な雑草を選定する事から始まった。一種類の雑草では難しいので数種類の雑草をブレンドしてバランスを取るらしい。難しそうだ。任せよう。
チャイ菜がベストだそうだが、チャイ菜は雑草ではない。もっと手間のかからない嫌でも生えてくる奴を利用しなくては意味がない。
色々と試した結果。
・錠剤化する時に繋ぎとなるデンプン0.5割。
・乾燥チャイ菜の形が崩れたり粉になった売り物にならないクズ。1割。
・シババ(芝の一種らしい)2割。
・ナナズナ(ナズナに似た植物)3割。
・ドドクダミ(ドクダミに似た植物)3.5割。
の配合になった。
錠剤なので味付けは必要無い。
『ドクダミンC』(Cはチャイ菜の事、チャイ菜入りを謳っている)。として発売した。
甘い味付けをして飲み物にした『ドクダミンCドリンク』として販売する事も忘れてはいない。
雑草の栽培は、獣人国に頼んだ。
楽に栽培できてお金にもなるので喜ばれた。




