40.ベータ5経過観察(11) ロイの方舟(1)
『ロイの方舟計画』
まずは大雑把な方針を考えさせた。
・崩壊間際に移住するとパニックになるため、移住対象者が10万人規模になったら移住する。
移動は院長にしてもらう
・院長にアルファ・フォーと同様の都市を作ってもらう(始まりの地 ベータ・ファイブ・ワン)
・都市には結界を張ってもらう、魔獣は出入りできない仕様
・都市は海にも山にも近い場所で大きな川が流れている平地
・移住は3段階で行う。
事前準備G(現地調査、インフラ整備)、
現地生産G(農業・畜産・鍛冶)、
その他移住者G
それらに必要な技術者を養成する。
・移住の前に調査隊を派遣して、気候変化、生息生物調査、栽培実験を行う
・移住までのテストケースとして精霊国と現地で都市設計の経験を積む
・精霊国への移民審査資格は精霊検定の金の妖精と銀の妖精ランク。
人格的に問題がなく、技術者と生産者を主に選定する
ここでいくら厳選しても世代が変われば人の質が変わってしまうので、
義務教育制度と専門技術教育制度を導入する。
・精霊国にいる精霊や妖精も一緒に移住する。
実は新天地となる惑星は既に作ってある。破滅の新天地のある星雲が見渡せる星系だ、やはり今まで星雲の見える星だったので、新天地でも同じ様に星雲が見えたほうが良いかなと思ったんだ。
修行で作り上げた惑星初期化ルーチンで作ったので、知的生命体もやばい生物も居ないはずだ。たぶん。
とりあえず惑星の状態を観測できるように新天地にドラゴンサットを配置して、モニターを精霊国の教会に設置したのでいつでも見られる。
ガナン共和国には精霊ランク検定を国家試験として導入してもらった。孤児たちが成人したら徐々に受け入れを開始するらしい。精霊国にはまだ教会と孤児院しかないからね。
さて、移住対象者はこれで問題ない。
残された人はどうなるか。
知らない。
滅びゆく惑星の一部を救った。でいいではないか。
そもそも宇宙規模で考えると助ける必要性は皆無だ。残念ながら人間の一種なので一部でも助けようと思ってしまっただけである。アルファ4なんて人口の1%も脱出できなかった。全ての者を助けるなんて出来ない不可能だ、せいぜい自分と関わった者達を救うぐらいだな。
全員適合者になればよいだけである。心を入れ替えれば全く問題ない試験レベルだし。人格さえ問題なければ大丈夫。
移住したら精霊国の結界を解いてあげれば残された者も大喜びするだろう。精霊や妖精は既に居ないけど。予言書もちゃんと残したしあとは自力で脱出してほしい。
大丈夫、崩壊するときは予兆はあるものの一瞬だから苦しむことは無い。魂を女神様に拾ってもらえば良いだけだ。穢れた魂は廃棄処分になるかもしれないけど。
ーーーーー
「おいっ、この星やばいらしいぜ」
「なんだってんだ」
「2000年後に崩壊するらしい」
「それまで生きていないけど」
「おれらの子孫が」
「お前独身だろ」
「これからするんじゃい」
「その前に滅ぶかもしれないって聞いてるぞ」
「食糧危機か環境破壊か」
「どちらもじゃない?」
「そんな俺等にいい話がある」
「何だ?」
「精霊検定って知ってるか?」
「あのレストランの客寄せシステムか?」
「ただの客寄せじゃない、新天地への選別らしいぜ」
「初耳だ、じゃあとりあえずレストランへ行こう」
「「精霊の果実シャーベット下さい!!」」
レストランと喫茶店の売上が瀑上がりした。




