38.ベータ5経過観察(9) バウンティハンター・ロイ
「ダナン、どう思う?」
「ロイ様に関しては信頼できる人だと思います。お人好しで我儘な人物だとは思いますが。
刺客に関しては、あのバカ貴族の刺客はバラして送りつけるとして、国の方はそうもいきませんね」
「国が相手だと少し手が足りんな、ロイ殿は刺客を上手く見つけて捕らえている、ここは素直に協力を願おう」
「国との敵対関係に関してはもう手遅れ、孤立するのは避けられない以上、できるだけ味方を増やすしか無いと思われます」
「幸い近隣領との関係は良い、あと精霊の森の周辺領に使者を送って味方に引き入れろ、国王と中の悪い貴族にも使者を送れ」
「国軍が動くと厄介ですね、どうしましょう?」
「そうだ、ロイ殿は別の呼び名があったそうだな
たしか、バウンティハンター・ロイ とかいって
盗賊狩りをして賞金稼ぎをしていたとか」
「おーーそうですね、ああ、我々も昔よくやりましたなぁ」
「では、その手配を頼む」
ーーーー
「ロイ殿に会いたい、また伝言を頼む」
「分かりました」
ーーーー
「院長ご相談が」
「なんだ」
「ガナン様がまた会いたいと」
ーーーー
「何の用だ?」
「実はお願いが」
1枚のカードと書面
「ん?これは、傭兵ギルドの登録証と指名依頼書ですね」
「先日の刺客の調査討伐に懸賞金をかけまして、それで受注願えないかなと思いまして」
「やっちゃっていいの?」
「そうですね、私に対して誰が刺客を送ったのか知りませんが、野盗の類は殲滅してよいかと、
失礼ながら傭兵登録は勝手にさせていただきました」
「なるほどね、俺のやり方でやっちゃうよ、いいの?」
「もちろんです、どうぞ、懸賞金はちゃんとお渡ししますよ。懸賞金は1000万Gと少し少ないですが、戦利品は全てお取りくだされば納得いただけるかと」
「そちも悪よのう」
越後屋か
まあいいや、久々のバウンティハンター・ロイ参上だ。
ターゲットはバカ貴族と国王、殺しなどしない。バウンティハンター・ロイは野盗は捕らえ、武器はすべて戦利品、野盗の巣窟の物は全て討伐者の物。だ。
もう盗賊ホイホイの仕組みの説明は省略。バカ貴族の領軍の全ての武器と物資。国王軍の全ての武器と物資、宝物庫などを押収した。あとは知らない。懸賞金ももらった。王国軍は身ぐるみ剥いで奴隷落ち。国王とバカ貴族は『牢屋』にポイした。
武器・物資・財宝は全て精霊国建国の役に立てよう。
財宝も国にしてはしょぼかったが、元は取れたかな。徹底してやったので、しばらく立ち直れないだろう。
ガナンのところには資材と奴隷を売ってあげた。WinWinである。
えっ?ちがうって? 俺がWinガナンもWin だからWinWinだよね?
国はどうか知らない、国王側の知り合い居ないし。
お宝の中に精霊石がかなりの数があった、これは精霊の森に開放してあげないとね。
ーーーーー 国王
「なんだ?何がどうしたと言うんだ?なぜ皆裸なのだ?武器も何もかも消えた」
「物資も宝物庫も空です
国軍も消えていきます、あっ...」
「こいつも消えた...周りの景色が変わった、牢屋か?
宰相もここか、ん?なにか張り紙がある」
『刺客を送った強盗の成れの果て』
「ガナンの仕業か、どうやったかは知らんが許せん」
「で、どうするんですか?」
「えっーんー、宰相を呼べっ、ってここに居るな。誰か? えーと、誰も居ないな、将軍も居ない
どうすれば?
交渉しよう」
「誰と?どうやって?どの様に? 国王が刺客を送ったんでしょうが、あれだけやめときましょうって言ったのに」
ーーーーー ガナン
「周辺領を纏めて新しい国を建国する必要がある。早く国の形を取らないと外部から攻められる」
「今回の異常なクーデター?に各国も対応に困惑している、今しかない」
「『精霊国』も相互承認すれば立国出来るだろう
ロイ殿の思惑にも合致するから問題ない」
こうして『精霊国』と『ガナン共和国』は無事に立国出来たのでした。
孤児たちが成人するまでは俺が精霊国国王という事になった。なんか国王の肩書がまた増えた。
ーーーー
ガナン共和国はロイから元国軍である奴隷兵士を格安で買い取り、最強の奴隷軍を結成した。奴隷契約は強力なやつをかけてあげたので命令には絶対服従だ。この星では奴隷契約は書面だけなので逃げられるが、俺の奴隷契約は逆らえなくなる呪の様な物だ、さすが呪い屋本舗の幹部といってほしかったが誰も言ってくれない。ここには支店がないので誰も知らない。
王国軍はとばっちりなので少し同情してしまったが、後で聞くと、国という権力を隠れ蓑に盗賊団まがい事を平気でする酷いやつらだったらしい。同情して損した。
なんか良いことをしたみたいで、国王関係者以外の皆に喜ばれた。
良いことをすると気持ちがいいね




