37.ベータ5経過観察(8) とある貴族
「院長、とある貴族に会っていただきたいのですが」
「どの様な件で?」
「協力したいけど、考えを聞きたいそうです」
「貴族と言うと面倒そうだな、何かメリットある?」
「先方には『精霊と妖精と自然と人種の関わり改善』と『文明レベルの向上』に興味があるようです。
現在、何が問題で、何をしなければならないかわからないので教授願いたいとのことです」
「そうか、そいつと話せば風通しが良くなるかな?」
「はい、充分な地位にいると思います」
「わかった、会おう。
場所は精霊の森ゲートの近くに此方で準備する。
日時は指定してくれ
此方は、俺と護衛1名と孤児のトップ3だ、先方も出来れば同じぐらいの人員で。
話の内容は恐らく極秘になるので信用のおける人物を。先方の護衛は意味がないので信用優先で」
「意味が無いとは?」
「文字通り、戦力は桁違い、形式的なものに過ぎず飾りにしかならないという事だ
此方の護衛は孤児達のためだ。
あと此方の礼儀には疎い雑談のつもりでお願いしたい。食事でも出そう」
「わかりました」
ーーーーー
「それで会えそうか?」
「はい、場所は精霊の森ゲート近くで日時を指定してほしいそうです。メンバーは信用重視で選んでくれと。護衛は無意味と。あと礼儀等は疎いそうなので容赦願いたいと」
「わかった、3日後の正午と伝えてくれ、会合は此方は私と執事長で、移動時には護衛を付ける」
「分かりました、食事は先方で準備するそうです」
ーーーーー
さて、会議場を作ろうか
会議室とそれぞれの控室、護衛の控室、簡易厨房とトイレがあれば良いか。
話し合いだけなので、結界の壁を挟んで対峙する形でいいか。危険は無いだろうが念の為。
結界にまだがる建物をぽんっと建てた。
料理はレストランのレシピでいいかな。昼だし。
オブシディアンとフクちゃんに周囲の偵察を依頼した。
ーーーーー
「主、周囲に隠密らしき者3名、連携は取れていないので異なる所属と思われます」
「わかった、動きがあったら連絡を、緊急時は無力化して確保しろ」
「ラジャー」
「貴族が来ました。護衛は5名、少ないですね。此方を気遣っているのでしょうか」
「わかった、そのまま監視を続行」
「全員貴族に接近!、確保します」
襲撃?
「確保完了!」
「呪玉で正直に喋りたくなるようにして事情聴取!」
「一人は当貴族の隠密で、他の2名が近づいたので阻止しようとしたらしい。
もう一人は、他の貴族の暗殺者、あと一人は国王関連だそうだ」
「警戒を続行」
ーーーーー
「はじめまして、精霊の森孤児院の院長をしていますロイです」
「この領地の領主をしているガナン・フェルスだ、こちらは執事長のダナン・フェルス私の弟だ」
「今回はなにか訪ねたいことがあるとか、まずは食事からどうですか?」
「心遣い感謝する、せっかくなのでいただくとしよう」
「ロイ殿はどちらからおいでで?」
空を指差す。
「?」
「あちらから」
「?」
「別の星から」
「?」
「あの銀河のこの辺りから」
「?」
話が進まないが、食事は進む
「ということは、たまたま空の向こうから観光に来て、この星の現状を見て手助けを。
で間違いないですね」
「そうですね、その認識で間違いないです」
「お人好しと言われる事は?」
「しばしば」
「本来の私としては、ロイ殿に退場を願うところでしょうが、現状を見ると協力を願わざるを得ないという事ですね」
「俺もそう思います。国として拒否されてもこちらで救いたいものは救いますが」
「我儘と言われる事は?」
「しばしば」
「わかりました、我々の将来に関わることなので此方から協力を願いたいと思います
それで此方ははっきり言って何をどうすれば良いか分からない状態です。
ぜひ御教授願えればと思います。」
「その前に、そちらの間者1人とそれ以外に2名捕らえた、どう処理する?2名は襲撃者らしい」
「こちらで引き取らせてくれ」
「どうぞ、他の貴族と国王からの刺客らしい。大変だな。
こちらの要求は建国を認めてもらう事だ、認めてもらわなくてもやることは変わらないけど」
「私としては良好な関係を保ちたいと考えている」
「それは同意する。此方の招待を受けてくれるなら、色々見てもらいたいものがあるが?」
「お願いする」
「では直ぐに、護衛はご遠慮願う、こちらへ」
以前の遠足コースをもう一度回る
「国王にもこれを見せてもらえんか」
「断る。刺客を向けた時点で敵判定だ。むしろ排除を考えたい」
「そうですか、わかりました」




