36.ベータ5経過観察(7) 精霊記
うーん、なんか流れで『精霊記』を書かなくてはならなくなっちゃったぁ
どうしよう、文才ないし。お任せ下さいって言っちゃった。
そうだ、教師の一人に貴族の内通者らしい人が居たな、手伝ってもらおう。
「ねー、助けてー」
「なによ、ギルドの回し者」
「えっとねー、ギルドの依頼でこの地の『精霊記』書かなくっちゃならなくなっちゃって、助けて」
「なにそれっ、あーー、それ、いいですね、いいですねぇー、
協力する代わりに此方にも協力してくれる?」
「りょーかい」
「孤児院長にもかかわってもらおう」
「えっ啓蒙のための偽伝記を作りたいと、俺が協力していいの?」
「もう頼れるのは院長だけです」
「仕方ないなぁ、でも加担したほうがやりやすいかな?わかった」
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『精霊記』
精霊は自然とともに有り、妖精を生み自然を守る。
人は自然の中で生まれ、文明を育てた
そしていつしか精霊を忘れてしまった。
文明は自然を蝕み、精霊は減っていった。
そして遂に破綻を迎えた。
人々は、地下に、空へと新天地を求めて旅立った。
残された我々はこの地上で細々と生を繋げる事となった。
我は精霊が居なくなることで土地はやせ細り食糧事情が悪化していった事を知っている。
我は精霊が自然を守っていたことを知っている。
我は人々が精霊を消していった事を知っている。
そしていつしか救世主が現れることを知っている。
そして救世主はわずかに残った精霊の森を守る。
そして救世主が現れて2000年後に星が崩壊する事を知っている。
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ちなみに俺も文才は無い。箇条書きみたいだな。まっいいか。
救世主になってしまったが嘘ではないので良いだろう。
これを碑文として岩に刻み、古そうに偽装した。
それを精霊の森で発掘した事にして、精霊の森の端の外から見える位置に置いた。近くから見ないと偽物とはわからないだろう。文字が現代文字であるのは突っ込まないで欲しい。だって古代文字知らないもん。
ギルドはこれを書き写し、説明文解釈などを加えて一冊の本にして『精霊記の予言』として発行した。




