29.アルファ・フォー(3) アルファ4経過観察
妄想から始まり、3年の月日が経過した、まだ色々な計画は進行中であるが。
気分転換に久々にベータ5とアルファ4の視察に行こうと思う。
ドラゴンサットで見た限りでは崩壊はしていない、龍脈センサー画像にも大きな変化は無い。
精霊さん達は元気にやっているだろうか? 戦争はどうなったのかな?
とりあえずアルファ4に行ってみよう。
「ガロイさん元気ーーー?」
「誰だお前は?」
しまった違う人がいる。そうだよね、いつもここにいるとは限らないよね。
「あっ、失礼しましたガロイさんの部屋かと」
「ガロイ皇帝代理の部屋で間違いないが、お前は?」
「えっと、ロイといいます」
「はっ、これは失礼しました皇帝陛下」
「?」
「お初にお目にかかります宰相のデロイでガロイの息子です
直ぐにガロイを呼びに行かせます」
「?」
ガロイが来た。
「これはロイ殿おひしぶりです」
「俺が皇帝?」
「この国はロイ殿あっての国です。争いの末、今やアルファ4随一のロイ帝国となりました」
「展開が読めない」
それから前回ここを去ってからの経緯を説明してもらった。
地域格差が発端となり、列国の独立、戦国時代を経て、ロイタウンの圧倒的な力は最終的にロイ帝国の覇権へと導いた。どうやら原因は俺のようだ。
そして建国の父としてロイ皇帝の誕生らしい。俺そんなに偉かったっけ?
否定するのも悪いのでとりあえず戴冠式、らしい。
帝国といってもまだロイタウンがそのまま帝都になった程度のものなので、中央の女神教教会で戴冠式は行われた、パレードは無しだ。道路が放射状なのでどう巡ったらよいのか分からない。
スピーチは無い予定だったが、多くの人に意識付ける良い機会だったので、この星の基本理念を解いた。
そう、帝国の基本理念ではなくこの星の基本理念だ。
「ここにいる皆は記憶に新しいと思う。
不幸にも元居た星の崩壊を
どうしてそんな事になってしまったのか
知っている者も居るだろうが、知らない者も多いだろう
事は5000年前まで遡る
かつて、繁栄していた故郷の星アルファ3、そこでは高い科学技術によって豊かな生活をおくっていた
科学技術は素晴らしいものだが、間違った使い方をすれば自らの破滅を招く諸刃の剣
いつからか、自然を破壊し自滅の道を歩んでいた、それに腹を立てた神によって文明は破壊された
人々は地下世界に潜ったり、地上で生き延びたり、我らの祖先の様にかつてのアルファ4にまで移り住んだ者たちが居た。
そして、祖先はまた同じ道を歩んでしまった。
今回は神の介入は無かった
それが結果として星の崩壊へとつながってしまったのだ。」
そう、邪神様は隠居して引きこもっているからね
「この世界は神が新たに準備してくれた物だ、
自然・精霊・妖精の居る世界だ
それらと共に繁栄していかない限りまた同じことの繰り返しになってしまう。」
俺が準備したんだけどね
「我々の子孫がその道を歩まないように、建国の歴史を正しく残して行く必要がある
生き残った我々の手で」
初めて知らされた事実に、みんな呆然としていた
「ここにはおとぎ話であった、精霊・妖精・魔法のある世界だ、
楽しもうぜーー」
「「「「「うぉーーー!!」」」」
そこに反応するかなぁ。まあいいか
早速魔術師ギルドを設立し、適正者診断のシステムを構築し、訓練施設などを建設していった。
適正者は3割程度、アルファ3と変わらない。同じ種族だからね。
教師が必要だろうから、アルファ3の魔人国に求人を出して魔法の教師を雇った。面接の結果、全員移住希望だそうだ。魔人国では元々適合者も多く、埋もれた優秀な人材が多い。新天地では優遇されるので嬉しい求人だったようだ。




