25.アルファ4(3) 新天地の現状(3)
レッカに新天地アルファ4の現状を聞いてびっくりした。
最低限の生活が確保できたと聞いていたが、本当に最低限だった。
廃棄物島の状況は、いつの間にか管理者っぽくなったやつから聞いていたが、そこの奴隷大して変わらなかった。むしろ奴隷になって環境が良くなったと感じる奴すら居る様だ。
人が多い分食糧事情には課題がありそうだ、重労働の割に1日1食の粗食だ。
更に、魔獣もそこそこ此方ぐらいは居るので、危険度も高い。
住居はほとんど行き渡っていない。街の周囲に木造の低い塀がある程度だ。
支援する義理や義務は全く無いが、やはり気分的には良くないので、ある程度は助けてあげよう。街一つぐらいは作ってあげよう。全部の面倒をみるのは流石に無理だけど。
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「また来たよ、ガロイさん」
「おう、よく来た、今日はなんだ?」
「俺が引き取ったレッカさんから聞いたんだけど、こちらの生活状況があまり良くないらしいので、少しだけ手伝ってあげようかなと思ってきた。あと差し入れで、俺の商会で扱っている極新鮮乾燥野菜を持って来た。乾燥を戻す魔道具も持ってきたよ」
「そうか、助かる。その、魔道具の使い方は?
魔法を使える者は居ないぞ」
「空間にある魔素を取り入れて、空気中の水分を使うので放り込んでボタンを押すだけで使える。
それと、街を一つだけ作るので用地を準備してもらえる?」
地図を持ってきて範囲を示した。
「この辺りはどう?
水場に近くて、森も海もそこそこ近い、それに龍脈にも近い」
「そこは、人は住んでいるがテント生活者だけだ、今建設中の街はもう少し南にある
よし早速立入禁止にして建設用地にしよう」
街は、アルファ3のアルファ・フォーの都市と同じ仕様にして大きさもほぼ同じ、8万人規模の都市設計を説明した。同じ仕様の街の建設はあまり考えなくても良いので比較的楽だ。
さっそく次の日から街作りを開始した。アルファ・フォーと同じなので説明は省くが、1ヶ月かかった。
木を伐採、整地、メイン道路の整備、城壁作り、中心に女神教教会建設、公共施設の建設、集合住宅建設
上下水道の整備など。
発電所などは省略した、彼らが自由に作るだろう。とりあえず自然エネルギーで賄えるだけの施設に留めた。
彼らが建設していた街も近くにあるので合わせて10万人規模ぐらいにはなるだろう。
チャイ菜の苗とジジャガの種芋も提供した。
「出来たー。疲れたー」
「速いな。遠目に見ていたが異常なスピードで建物が立つのは壮観だった。
食料も助かる。餓死者が出始めていたんだ」
「今回は人道支援で特別ですよ。もう作りませんからね。
都市の維持管理はちゃんとお願いしますね。
あと絶対に、苗と種芋食べちゃ駄目だよ」
「大丈夫だ農業経験者も居る」
街を案内して使い方などを説明する。
「教会が中心にあるようだが?」
「これは、女神教という宗教施設で、女神様を崇めれば、からだの周りが快適な温度になるという、
とてもありがたい施設なんだ、アルファ3にも同じものがある。
寒さの厳しい季節とか熱い季節とか、とても助かると思う。
神官の派遣は出来ないけど、研修したいなら受け入れるよ」
「地味だが、ありがたい恩恵だな。
特に次の冬は凍死者が出ないか心配だったんだ」
教会に8万人は入れないけどね。
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「なんだ、あの街は、元居た星でもあんなすごい作りの街は無かったぞ」
「城壁は助かるなぁ、あれなら巨大魔物でも入っては来れない」
「空を飛ぶ魔物は駄目だが、城壁に巨大バリスタが装備されていたぞ」
「どうやって作ったんだろう?」
「アルファ3の代表のロイ辺境伯らしい、なんかそういう能力を持っているらしい」
「もっと作ってくれないかな」
「今回だけらしい。野菜類とかの苗とか種芋も提供してくれたらしい」
「アルファ3行ってみたいなあ」
「技術者なら受け入れてくれるかもしれないらしいぞ」
「応募しようぜ」
「お前技術者だったっけ?」
「雑用のプロだぜ」
「それじゃためだろ」




