19.アルファ・フォー(3) 呪い屋本舗大活躍
アルファ・フォーは巨大な結界で覆われている。
難民を受け入れる条件として、皇帝との約束
・ロイ辺境伯が責任を持って管理すること
・他領に迷惑をかけないこと
・補助金は予算化しないが、寄付は無税でよい
があるからだ。
恐らくここを脱走した者は盗賊化して迷惑がかかる。そこで結界で脱走不能にしたのだ。
物資の搬入などはゲートを設けて管理している。
もちろん許可を得た者は出入りできる。
寄付に関しては、人道的なものは別にして領都などからのものは、技術供与を優先的に行う事で返礼とする。この条件で全ての大都市からは援助が得られている。
援助と言っても金銭だけでなく、実習に参加させたりの融通を聞かせてもらうのも協力が得られている。これは俺がチャイ帝国に来た時に各地でかなり貢献してきたおかげだろう。
現在までの逃亡者は0である。逃亡しようとした者は数百名いるが、全て捕らえて新天地に送り届けている。実質的に街から逃れている事になるので彼らの意思にも合致する。WinWinだな。
俺の私財と労力が減っていく以外は上手くいっている。
だが、莫大な投資の甲斐がありあと1年で黒字化出来るまでに成長した。
そこからは資金の回収に移れる。
それだけ経済的に潤ってくれば治安も良くなり、結界も解除可能になって来るだろう。
今では炊き出しもほとんど必要がなくなってきている。当初100箇所あった炊き出し会場は、街の南半分に20箇所ほど残っている程度だ。仕事を得たものは良いが、仕事に就けないものは格差が大きい。ただし、大都市のスラムに比べれば衣食住が確保されているだけましである。
冒険者ギルドも誘致して小さな仕事でも回せるように配慮はしているが、行き届かないところはある。
この世界ではあまりないカウンセラーによる相談も行っている。やはり異なる文化圏での生活はストレスが貯まるはずだ。それでも同じ出身を集めた街なので対人関係はましだとは思うが、自然環境は全く異なるらしいので慣れるのは大変だろう。そこは俺も歩んだ道なので気持ちはよく分かる。
そこで役に立つのが、呪い屋本舗謹製の『気が緩む呪』の呪玉。要はリラックス出来るのだ。
この呪玉セラピーの導入が功を奏し、街のピリピリ感が和らぎ、呪い屋本舗も繁盛した。




