18.アルファ・フォー(2) 自由民募集
冗談で『自由民募集』の張り紙したら。
1000人ぐらい応募が来ちゃった、どうしよう。
『自由民募集
新天地への移住者を求む。
募集上限2万人迄
』
待遇とか書いてないのに。知らないから書けなかっただけだけど。
まあとりあえず集まってもらうか。
アルファ・フォー行政施設の会議室で説明会を開催する。俺が説明してほしいぐらいなんだけど。
「我々は、分かれて新天地に向かった者たちと合流したいのです」
「今募集しているのは、自由民だけどいいの?」
「ここでの生活には我慢できません。」
「後戻りは出来ないよ、それでもいいの?」
「もちろんです、こんな所早く抜け出したい」
「そうですか、では止めはしません、明日出発します」
「「「ありがとうございます」」」
「いいのかな?まあ本人たちの希望だし叶えてあげるかな」
ーーーーーアルファ4
「と、言うことで自由民希望者を連れてきました。どうぞ」
「新天地、自由民移住希望者か? ちゃんと説明したのか?」
「冗談で募集したら、応募者がたくさん来てしまって。
知らないので説明できませんでした。でも本人たちはこちらを離れたがっていたので問題ないかなって
もう戻れなくても良いって事です」
「わかった、こちらで説明して対処しよう」
「ありがとうございます。
今回はこちらで使用していたテントが役に立たないかなと思って持ってきました。住居とかすぐには出来ないだろうと思って。
10人用が4000張りです。要ります?」
「それは助かる。是非お願いする」
「じゃあ置いていきますね」
アイテムボックスから出して、どさっと置いた
「ありがとな。
ああ、そちらはどんな状況だ? ダロイはうまくやっているか?」
「ダロイさんは頑張ってますよ。ようやく街の骨格ができたって感じですかね、まだ、「住めない事も無いって」言える程度なんだけどね」
「早いな、食料は?」
「まだ最低限が確保できてるって状況ですね、有用な人材は我々と仕事をするので必然的に同じレベルになるんですが、それ以外の人々はまだまだです。だから不満を持つ者が多いんです。力不足を感じるなあ」
「そんな事は無いさ、我々よりは進んでるさ」
「人数が違いますもんね、俺には出来ないな、十倍の人の面倒なんて」
「まあ、やり方はあるさ、手段を考えていたら出来ないぞ」
「その加減がわかんないなぁ。まだ修行が足らないな」
「どんな修行だ?」
「えっと、自由にやって、助けたいと思ったものは、助ける。そうでないものは気にするな。
という指針で。」
「出来ていると思うがなぁ」
「そうですかぁ?」
「ああ、大丈夫だ」
ーーーーー自由民移住希望者
「「「やったぞ、あの極悪環境から逃げ出せた!ーー」」」
「お前たち、説明する、こっちの部屋へ来い」
「「「なんですかーここはーー」」」
木の間に天幕を張っただけの会議室。
「これから街を建設するために平地を作る。
木を伐採し、根を抜き、岩を取り除いて平らにしていく
分かったな、よし、行けーーー」
「「「食事とかは」」」
「夕方に1食つくぞ、スープだけだがな」
「「「え゛ー」」」
「大丈夫だ、その後は寝ても良いぞ、警備隊が守っているから安心して寝られるぞ」
「「「何処で?」」」
「決まってるだろ、そのへんに丸くなって寝ろ」
「「「ぎゃーーー」」」
「逃げたら、廃棄物島送りだ。貴重な労働力なんだから無駄に逃げるなよ」
「「「...」」」
「なんだよ騒々しいな、向こうも此方もたいして変わらんだろ?」
ーーーーー移住希望者
「これはまずいぞ、最悪だ、戻ろう」
「いや、俺達戻れなくてもいいって言っちゃったぞ」
「逃げるか?」
「いや、もっと悪い条件になるに決まっているだろ」
「さっき元から居るやつに聞いたんだが、特別処置法とかで自由民は50年続くんだとよ」
「ほぼ死ぬまでって事だな」
「それと廃棄物島って所は孤島で周りは魔獣の住処で、そこから戻った者も逃げられた者も居ないらしい、犯罪奴隷の捨て場らしいぞ」
「ガロイとロイの会話の間にギャップがある様だ、同じ最低限って言ってもレベルが違うようだな」
「それになんだよこの食事、具のないスープじゃないか」
「抗議運動とか無いのか」
「追い出されるだけだ、そうなったら野垂れ死にさ」
「お前たち何文句言ってる、食事はみんな同じだぞ、それより早く寝ろ、明日も早いぞ」
次の日からテントが張られた、ロイが置いていった物らしい。
「俺達、あいつに守られてたんだな」
「ああ、もっと考えて行動するべきだったな」
「今更だな」




