宇宙海賊としての矜持
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「ジョンでーす」
「超作でーす」
「カラドニクス≒ドノットギーラでございます」
「「誰やそれ!(ツッコミ)」」
ガヤがワッと湧いた。
現在、宴会場で宇宙海賊トライタンパーティによるお笑いショーが開催されていた。
船員たちは喜々として次々にステージに上がり、マイクの前で日夜磨きに磨き抜いた持ちネタをステージ上で披露する。
そして、観覧席に設けられたプラチナシートには、絶賛人質であるはずのミカンの姿があった。
「きゃははははーっ!」
掴みのボケで腹を抱えて笑っている。
彼女の前に運び込まれる大量の食事。野菜少なめの荒くれ者たちが好きそうなジャンクなメニューが勢ぞろいだった。
「いたーきます!」
パン、と両手を合わせ、ぱくぱくもぐもぐ、えげつない勢いで平らげていく。
「あのガキやべぇ!」「負けてらんねぇっ!」「うおおおおおお!」
矜持を刺激された負けず嫌いの者たちが、プライドをかけて食い倒れプリンセスと張り合い始める。
しかしスピードも量も桁違い。
軟弱者が次々と意識を失い、タンカで運ばれていく。
「……………………」
ワッチワンはドン引きしていた。
彼が座る豪華な椅子の前には、これまたたくさんの食事が並んでいるのだが、その一切に手が付けられていない。
すぐそこで行われるえげつない行為にガッツリ食欲が失せ、酒で口を湿らせるくらいがせいぜいだった。
既に十人を医務室送りにしたミカンは、にっこにこで食いもん山脈を平地にしていく。
とても人質とは思えないお代官待遇。
しかし、こうでもしないと例のヤバい尻尾が、ずどーん☆なので、致し方ない。
結果としてヤツのいう通りになっているのは癪だが。
(我慢……我慢だ……っ。このガキはこの宇宙でも珍しいヒューマン型エイリアン。売ればこのボロ舟を最新鋭戦艦にしても釣りがくる……っ)
それに報告された能力も一個体が持つにしては破格の能力だ。
(その力をオレが手に入れれば……だから我慢……我慢だ……)
ワッチワンは想定外の気苦労を誤魔化すべく、口輪の隙間に挿したストローで酒を吸う。
じー……。
ミカンがこっちを見ていた。
その意図がわからないワッチワン。
部下が耳打ちしてきた。
「なにかやってほしいんじゃないっすかね?」
見れば、余興のお笑い芸が転換のタイミングだった。
「誰がやるか。他の奴にやらせろ。ウケがいいからって張り切っていただろう」
「なに言ってんすかボス!」
手下がくわっと食って掛かってきた。
「期待されてんすよ! ご指名なんすよ! 芸人としてそんな名誉なことないっすよ!」
「芸人じゃねぇ!」
意味不明な熱量に押され気味だったワッチワンだが、そこは激しく訂正した。
「でもまた機嫌損ねたら……」
「…………………………」
ワッチワンは自分の船がバースデーケーキのように、綺麗にカットされた未来がリアルに想像できた。
「…………………………」
じー………。
「…………………………………………………………………………………」
で、
「トツギーノ!」
「きゃはははははははははははは―――――――――ッ!!」
大爆笑。
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