やっぱり反りが合わないらしいでございます
四畳半に残された男二人。
「名取さん、昨日はミカンを助けてくれてありがとうございました」
急にかしこまった一坂は名取に向き直り、その頭を下げた。
きっとそういうタイプではないと思っていたのだろう。
少し意外そうな顔をした名取だったが、すぐにもとの爽やかさに戻り、
「受け取りましょう」
謙遜したりせず、素直にその礼を受け入れた。
顔を上げた一坂は、なんか気恥ずかしくなってしまい、取り繕うように話題を振る。
「にしても名取さんは、俺たちチキュー星人と見た目が全然変わんねーよな」
「それはたまたま私がこの星の方々と姿が似ていたというだけですよ」
名取もそんな一坂の気配を感じたのか、変な間も置かず流れるように会話に乗った。
「宇宙には様々な姿かたち、特殊能力を持った種族がたくさんいますから」
ま、そうだろうな、と一坂は納得した。
あの二人組の宇宙人はモロに人型のナマズとサイだったし、ミカンなんてヤバイ尻尾やビームやら撃てるけど、見た目はあのラブリーさだ。
「しかし姿が似ていることと、その星の環境に適応できるかはイコールではないのです」
名取は相変わらず背筋を、ピンと伸ばしたまま話を続けた。
「その場合、体の構造をその惑星の環境に合わせて調整する必要があります」
「肉体改造、的な?」
ふんっと力こぶを作った。
名取は苦笑し、軽く首を振る。
一坂としてはリアクションが物足りなかった。
「あくまで調整の域です。その惑星で生体構造が近い生命体をスキャンし、そのデータをもとに体内のナノマシン。極小の機械のことですが、それで体を調整します」
「なんか体に悪そうだな」
一坂はカップラーメンを一日三個食べたみたいな感覚で言う。
「大丈夫ですよ。ただ、個人の体質やナノマシンの種類によっては、髪や瞳の色にスキャンした対象の特徴が反映されることは稀にありますが、それも害らしい害はありません」
「ふーん」
調理が開始されたらしい。
炒め物の音とミカンの元気な応援がこっちまで届く。
「すぐできるからテーブルの準備をしておけよ」
「あいよー」
一坂は、のっこらせと立ち上がる。
すると同じように名取も所作良く腰を上げた。
「おいおい名取さん。あんたは客なんだから座っててくれよ」
「そうはいきません。お世話になってばかりではロージェスナイトの名折れ。あなたこそそこでゆっくりしていなさい」
壁に立てかけてあるテーブルに手を掛けるなんちゃらナイト。
「(取り上げる)いやいや。それこそ、あんたには昨日の借りがあるんだから」
「(取り上げ返す)いいから。あなたは座っていなさい」
「(取り上げ返す返す)あんたこそ引っ込んでろっちゅーの」
二人して一歩も譲らない。
なんかスイッチが入っていた。
「はなせってのちくしょったれ!」
「あなたこそ離しなさい!」
ミシミシミシ………(テーブルがきしむ音)。
「いい加減にしろ」
台所から顔を出した詩織が、ドスのきいた声で睨みを利かせた。
「大の男がつまらんことで張り合うな。ほら、さっさと用意しろ」
「おう」「任せてください」
二人同時に返事する。
「「………………………」」
にらみ合う
「はやくしろよ」
「「………はい~」」
協力してテーブルを組み立てた。
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おきな




