幸せ探し腹黒女3
私の名前は、サチ。漢字で書くと幸だ。
幸せの文字が使われているのに、少しも幸
せじゃない。
幸せを求めてやって来たのは、今大人気の
クレープ屋さん。
映えるってみんな言ってるけど、正直よく
わからない。
今時の高校なのに、全然ついていけないよ。
早速、クレープを受け取った。
しかも一人で二個もご購入。
一個は、冷凍庫に入れて置いて後でゆっく
りといただく。
カプリ。
う〜ん。幸せ。
私は、食べる事に幸せを感じるのかもしれ
ない。
それしか、幸せと感じた事ないんじゃない
のかな…
あーあー、なんかつまんなーい。
ずっとこの生活が続くんでしょ?
人生って修行って言うけどなんの修行なわ
けよ?
数日後、二個目の冷凍ストッククレープを
パクリ。
う〜ん。
やっぱり美味しい。
もうストックないし、またあのお店にいか
なきゃ。
何食べよっかなぁ。
確か、もうすぐ新作出るってお店のポスタ
ーに貼ってあったよね。
よし。
今日、雨だけど買いでしょ。
思い立ったら行かないと気が済まない性格
なんだ。
雨なのに、結構並んでるな…
ま、新作の為だし。
るんるん。
食べ物の事になるとテンションが上がる。
バナナクリームは、テイクアウトして冷凍
庫にインしよっと。
で、新作をパクリ。
う〜ん。
最高。
そう思っていたらスルッ。
学校のカバンと傘を持っていたせいか、
手が滑ってクレープをおっことしてしまっ
た…
あー、最悪だ。
それを見ていた女子集団にクスクスって、
笑われたのがわかった。
しれっと拾ってゴミ箱に入れた。
傘で顔を隠して足早にその場を去ろうとし
た。
すると、
「あの、これよかったらどうぞ。」
って、さっき私が落としたクレープとおな
じものを眼鏡をかけた、ぽっちゃり男子が
わたしに差し出してくれた。
一瞬驚いたけど、すぐにお断りをした。
「僕は、いつでも食べれますから。」
ニコッ。
そう言うと、そのぽっちゃり男子は半ば強
引に、私にクレープを渡してどこかに行っ
てしまった。
ぽっちゃりなのに、動き早くない?
ってか、あんなに背が高いのにぽっちゃり
眼鏡って、なんかもったいなーい。
よくわからないけど、とりあえずクレープ
食べられてよかった。
のかな?
いつでも食べれますって、常連さんなのか
な?
クレープ落とした時は、最悪って思ったけ
ど、意外とそうでもなかったのかな。
ありがとう。ぽっちゃりくん。
心の中でお礼をいい、クレープをほおばっ
た。
美味しい。
それから何日かが過ぎた。
あのぽっちゃりくんになんかお礼した方が
いいよね…
何お礼しよう。
ってか、連絡先とか知らないし…
とりあえず、いつ会えるかわからないし
期限のないものを用意しよっかな。
何がいいだろう。
あの男の子バックにかわいいなまけものの
キーホルダーつけてたよな。
かわいいもの好きなら、なんか可愛らしい
やつの方がいいのかな…
男の子にプレゼントなんかした事ないから
全然わかんないや。
あー、迷うー。
でも、なんか楽しいって思えてきた。
誰かになんかおくるのって楽しいんじゃな
いの?
食べる事意外にも楽しい事ってもしかして、
あるのかもしれない?
一時間くらいお店をウロウロして迷った結
果、なまけもののスリッパに決定した。
食べ物とか、期限あるし。
可愛くラッピングをしてもらった。
ラッピングするだけで、なんかもうワクワ
クしてきちゃった。
早く渡したいな。
どうせすぐに会えるだろうと思ってたかを
くくっていた。
甘かった。
三日連続で行ってみたけど全然遭遇できな
かった。
私もバイトがあるし、そんなに毎日通って
られない。
あれから、週一のペースで一か月通った。
でも全然ダメ。
諦める?
ううん。私は執念深い。
会えるまで頑張る‼︎
なんか、目標ができた気分。
毎日平凡でつまらなかったけど、大げさか
も知れないけど生きる希望を見出したとい
うか、目的ができて嬉しくなった。
自分が楽しい事を今まで封じ込めてきてき
ちゃってたのかも。
もう、絶対にみつけてみせるんだから‼︎
なんか、クレープ屋さんの他にその人を見
つける方法…
そうだ‼︎
いい事をひらめいた。
私ったら、冴えてるぅ。
続く。