表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァンパイアを殲滅せよ  作者: 金糸雀
第2章 伯爵編
84/148

ACT84 誰かに似てる?【佐井 朝香】

 あたしは外の様子を黙って見つめてた。ハムくんがみんなの前で両膝をつかされて、その姿勢のままマイクを向けられる様子を。

 ほんとはわたしも出たかった。たったひとりで群衆に立ち向かう、彼の傍に居たかった。でも二木総理が許さなかった。危険だからって。流れ弾に当たるといけないからって。その総理が、あたしのそばに寄って来て言ったの。


「菅くんの事が好きかね?」って。


 ちょっと! こんな場所とこでいきなりそんな事!!

 総理に遠慮したのか、あたしの両脇に居た黒服が一歩下がる。


「あああのあたしは――」

「慌てなくても隠さなくてもいい。はたから見て良く解る。彼の力になりたいかね?」


 あたしを見下ろす二木総理の優しい笑顔に、あたしも笑顔を返さずに居られなくって、素直になっちゃって。「ええ」って答えてたら総理、すっごく嬉しそうな顔するの。


「嬉しいね。私も菅くんを買っているからね」

「本当に? 彼、ヴァンパイアなのに?」

「ヴァンパイアだろうが何だろうが、本質という物は変わらんよ。道を外さずには居られぬこの世界で、彼は実に良くやっている。王道を行く政治家へと成長しつつある。昼夜問わず常に忙しなげとは思って居たが、なに、人の身では無かったからかと納得もした所ですよ」


 そう言って横を向いた総理の背中はとっても広くて。どこか懐かしい。


「二木総理、あたしもっと前から貴方を知っていた気がするの」

「……それはまあそうでしょう。貴方の物心がついた頃には、すでに政治に携わっていたからね」


 言いながら、総理の眼が再び外を向いた。最前列にずらりと陣取る記者達の「質問責め」が始まったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ