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ヴァンパイアを殲滅せよ  作者: 金糸雀
第1章 幹部編
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ACT28 世話が焼けるわね!【佐井 朝香】

 やだ! 麻生ったら勘良すぎ! 背後からの銃弾を咄嗟に避けちゃうなんて!

 でも左手には当たったから、まぁいっか。


 あたしは床をクルクル転がって来た麻生の銃を回収したわ。そしたら――


「――結弦!!!!」


 桜子さんが、麻生に駆け寄った。すごく必死な声上げて。


 ……え? なんで? どうして!?


 ビリビリっとドレスの裾やぶいて、一生懸命それを麻生の手首に巻こうとしてあたふたしてる。すっごい取り乱し。なんか私の知ってる桜子さんじゃない。気が強くて毅然としてて、高慢ちきでいけすかないあの桜子さんじゃ全然ない。

 ……意味解んない。柏木さんが「おねが~い」なんて両手を合わせてこの銃を渡してくれたから、助けるか、さもなくば麻生をやっつければいいかと思ってたのに。(そんな風には頼んでません! by柏木)


「ねえ! あたし、どうすればいいの!?」


 って振り向いて声かけたら、ちょっと! 柏木さんったら居ないじゃない!


「こんな時にどうして笑えるの!? 何故さっき、外したりしたの!?」

「だって答えを……半年前の答えをまだ……聞いてないから」

「馬鹿! 今更何を言っているの!?」


 何よ。三角関係のもつれ話がまだ続いてるわけ?


 とりあえず、撃たれる心配は無さそうなんで、駆け寄ってみる。

 麻生の傷はどう見ても浅くは無い。動脈切れて複雑骨折もしちゃってる。あーあ、腱って繋ぐの難しいのよね。もうピアノは弾けないかも。我ながら気の毒なことしちゃったわ。

 ――もう!

 桜子さんったらモップ並みに床の埃を拭き取りまくったドレスの裾なんかで傷塞いだりして! 下手したら敗血症になっちゃうわ! 消毒消毒!


 白衣の懐に携帯してある生食(生理食塩水)のパックと、消毒液のスプレーと、清潔な包帯と、止血帯その他を取りだす。あ、これは血液その他の水分をたっくさん吸い取ってくれるディスポーザブルのクリーンタオル。ちょこちょこっとお掃除も出来ちゃう優れもの。


 ……あ、ちょっと動かないで!

 大の男がこれくらいの処置で声出したりして!

 飛び出た骨、ちゃんと仕舞っとかないと後が大変なんだから!

 皮膚とか筋肉とか、乾いちゃったら後で使えなくなるんだから!


 あたしが手当てしてるそばで、ずっと泣きじゃくってる桜子さん。舞台の端には秋子さんの着ていたドレス。


「一応の応急処置はしたけど、すぐに手術が必要よ」


 そう言うと、彼女、少し安心したのかあたしの腕にもたれかかってきて。


「桜子さん、ちょっと――」


 その時初めて気付いたの。桜子さんの胸の谷間、ちょうど心臓の位置が、赤く血で染まっている事に。


「え? 桜子さん! どうして!?」


 心当たりがあるとすれば……さっき撃ったあたしの弾が麻生突き抜けて当たっちゃったとか?

 でも問題ないわよね? あたしの弾、ただの普通の弾だもの。純銀じゃなきゃヴァンパイアは殺せないって裕也は言ってたもの。すぐに治るわよ。弾さえ取りだせば、さっきの傷みたいに元に戻るわよね? ね? 桜子さん?

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