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私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした  作者: うる浬 るに
私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした
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06 試験の話

「俺はバーク、よろしくな。こっちからベリン、ニーア、ビズだ」

「イリディアナです。よろしくお願いします」


ベリンさんだけ年上であとは私と同じ年くらいに見えます。


「イリディアナも初回で合格したんだろ? すごいな。俺なんて3年もゲート抜けられなかったからさ、でも諦めなくて良かったよ」


 ベリンさんは商家の息子で事務的能力はあっても魔力が足りなくて、やっと今年合格できたそうです。ゲートを抜けられるまで何年でも頑張るつもりだったみたいでした。部署は財務部演算課、伝票処理を魔法でこなせちゃうんです。すごい桁の数字でも魔法で計算して合計額わかっちゃうみたいですよ。


「僕とビズは建設部土木課です。道を作ったり、レンガで建物を建てたりする部に配属されました」


 ニーアさんは子爵家の使用人の子供なので話し方が平民にしては丁寧です。一方ビズさんは


「わしは、合格できなけりゃ、浮浪者になるところだったんじゃ」


 合格しか考えず片道だけの旅費だけためて、とても遠い村から王都まで来たそうです。試験受けるころには、ほとんどお金を持っていなかったんですって。


「腹が減りすぎて、課題の土魔法使ったあと気絶したらしくてなぁ、気がついたらここの寮で寝かされとった」


 土魔法の試験?


「俺も第三試験の魔道具組み立てと文様の写しが、昼飯時をすごく過ぎてからでさ、空腹で頭が回らなくなったら困るって焦った」


 第三試験の魔道具組み立てと文様の写し?


「一緒だ、演算の魔法陣間違えて合計合わなかったら、一発アウトなのによ」

「君たちの部署は、どんな時も間違わない優秀さが必要だからあえてなんじゃないの?」


 最初に声を掛けてくれたバークさんは魔道具部で、人の役にたつ魔道具を研究する部署。細かい作業が得意なんだそうです。それよりみんな私の知らない第三試験? を受けているんですけど何故でしょうか。


 ベリンさんの演算だって、魔法陣を使っているなら私の受けた単純な計算とは違いますよね?


「イリディアナは何部に配属されたんだ?」


 なんでだろうと不思議に思っていたので返事が遅れてしまいました。


「あ、えっと、魔防部です」

「え?魔防部ってあの魔法防衛部?」

「魔防部かよ、すげーな」

「ねぇねぇ試験はどんなだったの?」

「……?」


 ビズさん以外の反応がすごいんですけど、試験だってみんなが受ける実技試験しかやってないんです。なんて答えたらいいんでしょうか。


「えっと魔法で的に当てたりとか……」

「魔防部って自分の最大の魔法使って試験するんだろ? 万が一、周りに被害が出ないように結界張った中で得意の魔法を見せるって聞いたぜ。イリディアナは何魔法使ったんだよ」


「えっと、光……魔法……かな」


 実技試験の時、数字を照らしたのは光魔法ですもんね? うん、私、嘘はついてないです。


「お前らあまり聞いてやるなよ。魔防部が自分の最大魔法ばらすわけないだろ」


 ベリンさんがそう言って話を止めてくれたので何とかなりました。嘘は苦手なので話を合わせるために嫌な汗かいちゃいました。


 第三試験のこと、今度お爺様に会ったら聞いてみることにしましょう。


 結局、貴族の人たちにもまだ魔法防衛部に配属されている人はいないみたいです。


「貴族のやつらが配属されていたら、声高々に自分で振れ回ってるだろうさ」


 バークさんがそう言ったので、これから引っ越して来る人を待つことにしました。


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