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私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした  作者: うる浬 るに
私の能力が試されているのは、賢者の孫馬鹿のせいらしい
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24 合流します

「ダニエルさん、ここはもう片付いたってことでいいですか?」

「そうだね。万が一、イリーたちの魔法を受けながらも、この辺からうまく逃げ出していた魔獣がいても、今回は魔法師団の先輩たちが狩ってくれるから大丈夫だよ」


「やっと終了ってことか。一時はどうなるかと思ったが、イリーのおかげでなんとかなったな」

「オルガさんが警護してくれたから、私は魔法に集中できたんですよ。もちろんダニエルさんもです。ありがとうございました」


「今回の全頭討伐に関しては、ふたりの相性がよかったんだよね。一度に大量の魔獣を仕留めることができるイリーと、こんな場所でも機動力がまったく落ちないオルガ。どちらが欠けてもこんなに早くは片付かなかったんじゃないかな」


「私の魔法が少しでも役に立つなら、急いでジルさんたちと合流したいんですけど。あちらもここと同じような状況なんですよね」


 メルンローゼ様は道案内のためについていっただけなので、向こうで戦えるのは実質ジルさんひとりです。

 同じように無数の魔獣に囲まれていたら無事ではいられないかもしれません。

 実際にはダニエルさんのように、彼らのそばにも監視官がいるのかもしれませんが、手助けをしてもらえるとしても、相当追い込まれてからになると思いますし。


「そう言っても、イリーはもう限界だろう」

「いえ、残っていたドライフルーツを食べて休憩もしたので、今はもう動けますよ」


 そうではなくて、山の中を探すとしても『おまえはどんくさくてついてこれないだろう、足手まといだ』と、オルガさんに言われたら、その通りなので否定はできませんが……。


「合流するって言っても、彼らがいる場所はわからないよね」

「そのことなんですが、危ない状況になったらメルンローゼ様は救援弾を使いますよね? それが目印になりませんか?」


 きっと、意図的に私たちのような状況にされていると思うので、ブネーゼ魔山に慣れているメルンローゼ様であれば、魔獣の集まり方が異常だとすぐに気が付くはずです。

 自分たちだけの手には負えないと判断したら魔道具を使うと思うんですけど。


「なあ、ダニエル。俺たちはこの場所から移動してもいいのか?」

「救援を呼んじゃったからね。本当はよくないけど、イリーはジルたちを助けに行きたいんだよね?」

「私にできることがあればですけど」


「そっか。君たちのチームメイトだもんね。それ以前に知り合いでもあるのだろうから、その気持ちはわかるよ。その行いが正しいか正しくないかは別としてだけど」

「正しくありませんか?」

「あえて言うなら無謀かな。メルンのような特技があるわけでもないから、どこにいるかわからない彼らと合流すること自体が難しいと思うよ」

「そうですか……」


「でも、入山口の塔を目指していけば会える可能性はあるよな。あいつらが最短ルートをそれほど外れるとは思えないし」

「オルガにその道がわかるならね」

「俺だって地図が読めないわけじゃない。方向くらいはわかるぞ。イリーどうしたい? 俺の方向感覚を信じるなら一緒にいくか?」


 危険性を考えると、オルガさんは自分ひとりだけで行きたいそうですが、ブネーゼ魔山では単独行動も規律違反になります。


「連れて行ってもらえるなら私もお願いします」

「だそうだ、ダニエル。おまえが反対しても二対一だぞ」

「だったら、仕方ないね。ちょっと待ってて置き手紙をしておくから」


 そう言うとダニエルさんは、一番大きくて目につく倒木に『チームメイトのえんごにむかう、あとはたのむ』と魔法を使って文字を刻みました。


「僕は道を知っていたとしても案内はしないよ。二人のあとを追いかけていくだけだから」

「それはわかっている。イリーの方は本当に大丈夫か? よければすぐにでも出発したいんだが?」

「はい。頑張りすぎても迷惑になることがわかったので、無理はしません。もし体調が悪くなったら酷くなる前に必ず伝えます」

「そうしてくれると助かる。それで、こいつらは……」


 網ごと地面に置きっぱなしだった小虎たち。連れて行きたいんですけど、一番体力がない私が背負っていくわけにもいかず、手を上げることができません。


「それは僕が運ぶからいいよ。貸しを作るために、この子たちは騎士団に渡すことになると思うから」

「ああ……そうなんだな……」


 少し残念そうなオルガさん。

 自分の手で騎獣として育てあげてみたいと思っていたのは、私だけではなかったようです。今はふわふわで可愛いいですし、黒紋虎として成獣になったらとても格好いいので、出来ることなら飼いたかったです。


「じゃあ、行くぞ」

「はい」

「用意はできてるよ」


 そして私たち三人はジルさんたちと合流すべく、荒らしまくったその現場から立ち去ることにしました。


 実は私、少しほっとしています。

 あの場所で魔法師団の方たちとお会いするのがちょっと怖かったと言うか……。あの状況をどう判断されるかわからないじゃないですか。

 魔獣の討伐のために相当な環境破壊をしていますからね。そんな心配をしていたんですけど、どうやら木を切り倒したことは咎められないようです。


「あれだけ材料があるんだから、たぶんあそこにログハウスを作って駐留拠点にするんじゃないかな。周りにはかなり広い空き地もできそうだし。偶然の産物でこういったことはよくあるみたいだよ。ブネーゼ魔山内で安心して休めるところは多いほうが団員の助かるから」

「やりすぎだって怒られるかと思ってドキドキしていましたから、それを聞いて安心しました」

「昔、かなりの広範囲を延焼しちゃったっていう前例もあるみたいだから、それに比べれば後で木材を使える今回は全然問題ないよ」

「その話、延焼っていうからには炎魔法系か?」


 オルガさんの言葉で、一瞬ジルさんのことが頭をよぎりましたが、たぶん、そんなことにはならないでしょう。


 自分でも延焼の危険性があるから全力が出せないって言っていたくらいですし、彼は私なんかよりも冷静で優秀なんですから。

 きっと、考えも及ばないようなすごい魔法で切り抜けていると思います。


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