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私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした  作者: うる浬 るに
私の能力が試されているのは、賢者の孫馬鹿のせいらしい
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18 どうすればいいのでしょうか

 本当はこんな場所で留まらずに、さっさと下山すべきだったのかもしれません。

 元はと言えば子虎の存在に気を取られてしまった私がいけなかったのでしょう。そのせいで皆さんを危険にさらすことになってしまいました。


「俺はイリーの言うことも一理あると思う」

「私、何か言いましたっけ?」

「救援が来ないことだ」


 『もしかしたら、あえて私たちの救助を無視しているなんてことはないですよね』と私が独り言を言ったので、それがオルガさんに聞こえていたようです。


「新人がこの山で研修をしていることは周知されているはずだ。それで空があれだけ赤くなっているのに、いつまでたっても誰も姿を現さないなんて流石におかしいだろ」

「それはそうですが、それでも私たちが助けを求めているのに魔法師団の方たちが無視するでしょうか。あれは本当に困った時に使えと言われてましたよね? 事実ダニエルさんが危険な状態だから打ち上げたわけですし……」

「確かにそうなんだが、それにしても魔獣の数が尋常じゃない。わざとここへ集めていると思うのは俺の考えすぎか?」

「すみません、私はブネーゼ魔山に来たのは初めてなので、普通の状況がわかりませんからなんとも言えません」


 お祖父様と一緒に魔獣の討伐をしていた山はブネーゼ魔山ほどではありませんが、それなりに広大な高山でした。

 狼や大きなネズミ類なんかは群れで襲ってきましたから、一人で数頭の相手をしなければいけないことはありましたけど、これほど、多種多様な魔獣が一堂に会しているところは初めて見ます。

 ですが、ブネーゼ魔山ではこれが普通の光景かもしれませんから、私には判断のつけようがありません。


「そうか。俺も初めてだから、これが通常ではないと言い切れないからな」


 それはオルガさんもみたいですね。


「しかし、万が一、指導として俺たちがここから自力で脱出するまで手を出さないつもりだったとしたらダニエルの命だって危ういぞ」

「そうだとしても、私たちがここから動くのはジルさんとメルンローゼ様を待ちませんか? もしかしたら本当に今まで誰も気が付かなかっただけかもしれませんし」

「だったら、もうしばらくしてから、もう一発救援弾を上げて様子を見るぞ。それでも何も反応がなければ本気でどうするか考える必要があると思う」

「わかりました」


 それから一時間ほどたっても誰も助けに来る気配はありませんでした。

 救援弾を上げたくても結界を解除するのが危険すぎて結局そのままです。

 私たちは誰かが来てくれるのをただひたすら待ち続けているだけでした。


「やっぱり、このままじゃまずい。イリーの結界を解除して反撃しなきゃ魔獣が増える一方だぞ」


 結界の外は酷いなんてものではありません。魔獣の数といい、それらが戦ったあとの光景といい。


「でも、ダニエルさんがこんな状況で戦うのは無謀すぎます」


 オルガさんと私だけでどうにかできる状況ではすでになくなっているほど、私たちの周辺には魔獣が集まっています。

 なぜこれほどまでになってしまったのか……。ここは魔山。そう呼ばれているから、これが当たり前のことなのでしょうか。


「せめてジルさんたちが戻ってくるまで待ちませんか? 人まかせばかりですみません、でも、どうしてもそれが一番いいような気がするんです」


 二人が戻れば、たぶん応援を連れてきてくれるはずです。

 そうすれば手練れた先輩方がいらっしゃるでしょうから、熊も狼も狐もすべての魔獣の綺麗に討伐してもらえるはず。

 下手に私たちが動くより、ここで大人しくしていた方が良いような気がします……。

 それでも、ダニエルさんのことを考えるとオルガさんの言っていることもわかるので、これ以上時間をかけるのも怖いのも同意です。


「どうしよう」


 実は周辺の魔獣をどうにかする方法がないわけではないのですが、その魔法を使うとしたら、たぶんオルガさんの負担がすごく増えてしまうことになるでしょう。負担だけではなく、もっと悲惨な状況になる可能性が大きいため、私はそれを実行させることに戸惑いがありました。


 やはり、ジルさんたちの手は絶対に必要です。


 ダニエルさんのことは早く救いたい、でもここから動くことは危険すぎる。


「どうすれば最善なんだろう……私がもっと魔法を使いこなせていたらよかったのに」


 オルガさんもこの魔獣の群れの中を私たちだけで脱出することは無謀だと思ったのか、結界を解けと無理強いすることはありませんでした。

 膠着状態のままでどうすることもできずにいた私たち。


 ところが……。


「あーあ、二人とも減点だよ。って言うか団の掟忘れてない?」

「あ?」

「え?」


 私の耳がおかしくなったのでしょうか?

 だってこの声は……。


「ダニエル!? おまえ大丈夫なのか?」

「うん。全然平気」


 危険な状態だと思っていたダニエルさんが普通にしゃべっているんですけど?


 いったいどういうことですか?


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