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私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした  作者: うる浬 るに
私の能力が試されているのは、賢者の孫馬鹿のせいらしい
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11 山猿はすごいそうです

 ひとつ目のカラーボールを手に入れてから、私たちは更に山奥へと進んでいました。黙って歩いているのですが、山に中から聞こえてくるのは鳥のさえずりが意外にも多く、時よりチチチッという警戒の鳴き声を上げる時があるので、その場合はより慎重に行動していました。


「あれは猿だよな?」


 進んでる先の木の上を指さし、オルガさんがメルンローゼ様に質問しました。


「ええ、山猿だと思うわ」

「山猿か、だったら心配ないな」


 山猿……最近その名前をどこかで聞いた覚えがあるのですが……。


「あ、ムーム」


 確か、彼女は山猿と呼ばれていたと言っていた気がするのですが?


「あなた、ムリュムリームのあだ名のことを知っているのね」

「あ、はい。そう呼ばれていることをお母様が気にされているとか」

「令嬢が山猿なんて呼ばれていたら普通は傷つくのが当たり前だと思うのだけど、ムリュムリームはどちらかというと喜んでいたわ」


 なんだかムームらしいですね。


「隣だから仲良くしろだなんて言われていたけれど、あんなのに、私がついていけるわけがないじゃない。あなたもこれから気を付けた方がいいわよ」


 しかめ面で話すメルンローゼ様。ムームに連れ回されていたんでしょうか。


「でもどうして山猿なんてあだ名が……」

「あの猿は、通常ではあり得ない進化をする魔獣とは違って、本当にただの猿なのよ。ただの猿が魔獣だらけのこのブネーゼ魔山で生き抜いているのだからすごいことなのよ。ムリュムリームも山奥にひとりで放り出されても平気そうだからと、幼い頃からヴェルリッタ領の家臣だけではなく、魔法師団や騎士団にもそう呼ばれていたわ」

「それは、なんだかんだ言いながらも敬意をはらっているからだと聞いたことがあるぞ」


 ジルさんがフォローを入れましたけど、サメア様も似たようなことを言っていましたね。


「ムリュムリームって、もう一人の魔防部の子だよね。ピンク色の髪の。幼馴染だったの?」


 ダニエルさんはムームのことを知っているよです。


「幼馴染って言えばそうだけれど、あんなムリュムリームと私が、遊び友達になるなんて始めから無理があったのよ。本当に昔からどれほど迷惑をかけられたことか」


 これほどまでに文句が出てくるところをみると、メルンローゼ様は本当にムームが苦手なんでしょうか?

 小さなころから無茶させられていたのなら、ちょっと同情しちゃいます。私も初めて会った時にいたずらでビリッてやられましたから。


「もう、ムリュムリームの話はいいでしょう。もう少し行けば、騎士団の駐留地として使用している広場に着くわ。どうするの?」

「挨拶している時間も惜しいからな。今日は避けて通ろと思うんだが」

「そうだな。私もあまり他人とは顔を合わせたくない」

「ジルって意外と人見知りなんだね」

「そう言うわけでは……」


 ジルさんが警戒しているのは、たぶんお祖父様がらみですよね。ヴェルリッタ領の方たちの勢いをみたら、お祖父様がここで何を言ったのか気になります。メルンローゼ様はご存知かもしれませんが、皆さんの前で聞くわけにもいきませんし。


 結局、現在人がいるかはわからないそうですが、今回は騎士団の駐留地には寄らないことに決まりました。


 そのため、私たちは大きく迂回するように先に進んでいたのですが……。


「気をつけろ、何かがこっちに向かってきているぞ」


 オルガさんが言うように、奥の方で木立の中から、ざわっと鳥が飛び立ちました。鳥たちが何かに驚いて羽ばたいているようで、その様子が少しづつこちらへ近づいてきています。


「状況がわかりませんから、とりあえず私が結界を張っておきますか?」

「そうだな」

「すみませんが狭い範囲しか無理なので、皆さん固まってもらえませんか」

「ああ、みんな集まれ」


 何かのはずみで結界が消えた場合を考えて、攻撃力があまりないメルンローゼ様を真ん中にして四方に四人が背を向けて立ちました。


 私が小さな結界を張って、そのまま静かに様子を窺っているとそこに現れたのは狐に似た大型の魔物の群れ。そしてそれを追っていたのは騎士団の皆さんでした。


 私たちから少し離れた場所を駆け抜けていったので、何事もなかったのですが、討伐をしているようには見えませんでした。


「あれは何をしていたのかな」


 私と同じ疑問を口にしたのはダニエルさんです。もちろんメルンローゼ様に向かって。


「騎獣用にする魔獣の捕獲をしているのよ。従順な騎獣として育てるために、生まれて間もない魔獣の子どもを狙っているそうよ。群れで子どもを守っているから、広い場所まで追ってから囲い込むのではないかしら」


 魔獣はなかなか人に懐かないと言いますが、うまく騎獣として育て上げれば、馬よりも機動力が向上するそうです。

 王都でも騎士団には騎獣部隊があるそうですが、私はまだ目にしたことはありません。それほど希少なものらしいです。


「例えば俺が騎獣にできそうな魔獣をここで手懐けたら、飼ってもいいのか?」

「いや、それは、難しいだろうな」

「騎士団ではなから魔獣の管理が問題になるってことか?」

「確かに人に危害を加えないように管理することも大変だろうが、一番は餌代だ。魔法師団の新人程度の給料ではとても賄えるものではないはずだからな。騎士団では団で飼っているそうだぞ」

「そうか、残念だな。俺の魔法と騎獣はすごく相性がよさそうだと思ったんだが、そうなると諦めるしかなさそうだ」


 オルガさんの自由自在のロープの武器は使い勝手がいいとはいえ、やはり長さに限度があるようで、魔獣に乗れば行動範囲も広がります。より攻撃力が増すということでしょう。


 それになんと言っても格好いいです。

 そんな理由で私も欲しいなんて言ったら、みなさんに苦笑いされちゃうかもしれませんね。


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