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私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした  作者: うる浬 るに
私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした
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16 イリー、ショックをうける

「いだっ」


 私は思いっきり男の胸ぐらに頭を打ち付けました。いわゆる頭突きです。手は出していませんよ。


 目の前で痛みにもだえる男。今のうちに逃げなくては。


 動き出そうとしたちょうどその時、事務所のドアが開きました。


「おいおまえ、私の部下に何をしている」

「うっやべえ、マグニーズじゃねえか」


 マグニーズ副部長から声をかけられた男は、胸を押さえながら反対側へ走って逃げていきました。


「お前のことは調べて、部署に報告しておくからな」

 マグニーズ副部長は私の元までやって来て、男の後ろ姿が廊下の角を曲がって見えなくなるまで、そちらの方向を睨みつけています。


「大丈夫かい? 私が離れてしまったせいで怖い思いをさせたようだね。ごめんよ」

「わらしは、らいじょうぶれす」

「イリー君!? あの男に何かされたのか!?」


 ほっとしたら、私はいろいろ緩んでしまったらしく、まともに声が出ませんでした。


 涙目のまま、鼻をすする私の顔を覗きこんだマグニーズ副部長はとても心配そうな顔をしています。


「あの人ズッ……、魔防部の悪口ズッ……言われたズッ……れす」

「魔法師団の中には魔防部を目の敵にしている奴もいるんだよ。魔防部が花形だと言うのが許せないらしい。他にもいろいろあるが、隣国との争いがなくなってから、必要のない部だと思っている者もいるからね」


 マグニーズ副部長の話を聞きながら、鼻水がたれそうだった鼻をハンカチで押さえました。


「魔獣退治っていう、大事なお仕事がありますよね」

「王都にいる連中は現場を知らないから、魔の山の危険性を全然分かってないんだ。事務系の部署は繫忙期だと国中から書類が集まってきて大変だから、王都で私たちがやっている補助的な仕事は楽をしているように見えるようだね」

「そうなんですか……」


「あいつには悪口を言われていただけかい?」

「肩を押されて、魔法で脅されました」

「魔法だって!? イリー君、これから情報部へ一緒に行くよ。証拠さえそろえばあいつは処罰されるはずだからね。それと万が一こんなことが起こってしまった場合は防御魔法は使っていいことになっているから。言い忘れていて悪かったね」


「そうなんですか」

「特例で防御は大丈夫。そうでないと、危険な場合もあるからね。あんな奴のせいで、イリー君に魔防部を辞められたら困ってしまうよ」


「怖かったですけど、もう平気ですから」

「無理はしなくていいからね。念のため医務局に行っておくかい」

「怪我はないので大丈夫です」


 おでこはちょっと傷みますが……。

 そのあともマグニーズ副部長は優しい言葉をずっとかけ続けてくれました。


 安心してから気がついたんですが、あれ、魔法少女が憧れていた壁ドンですよね? 


 私の初壁ドンがーーーーー。


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