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私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした  作者: うる浬 るに
私が憧れの職場に入れたのは、賢者のお祖父様のごり押しでした
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14 友達

「こちらはフランシアさんです」


 食事を取るため集まった食堂でサメア様にフランさんを紹介しました。事前にフランさんとムームにはサメア様のことを伝えてあります。


 メルンローゼ様と会わないように遅い時間を選んだので、いま食堂で食事をしている人はそれほどいません。


 私とフランさんの向かい側にサメア様とムームが座りました。


「サメアリアよ。よろしくお願いね」

「こちらこそよろしくお願いします。私のことはフランとお呼びください」

「フランね。それならわたくしはサメアで。イリーのお友達なのでしょ。私もお友達だと思ってもいいのかしら」


 サメア様はフランさんの方を見て微笑みます。


「お友達だなんて恐れ多いです」

「気にすることないから。サメアってこんな感じだけど、中身はみんなとかわらない普通の女の子だからね。そう扱ってあげた方が本人も喜ぶよ」


「そうしてくださる」

「そう言われましても……」


 ムームのこともだけど、フランさんは公爵令嬢で、しかもかなり年上に見えてしまうので二人と親しく話をするのが難しそうです。この仲間に引き込んでしまって本当は迷惑だったかもしれません。


「すみません」

「え? なんでイリーさんが私に対して謝るの」

「なんとなくです」


 せっかく仲良くなったのだからみんなで過ごしたいと思いながらも、フランさんには申し訳ないと声が出てしまいました。


「爵位が上とか下とか面倒くさいよ。そんなこと言ったらイリーなんてずっと畏まっていなきゃいけなくなっちゃう。この子ひとりでご飯食べさせるの可哀そうでしょ。ここではただの友達でいいじゃん」


 確かに平民である私が公爵家や伯爵家、子爵家のご令嬢と同じテーブルで食事をしている時点で不敬なのかも。

 それならそれで同じ平民の方を探せばいいことなんですが、やっぱり寂しいです……。


 フランさんは私に視線を向け、そのあと正面に向きなおして姿勢を正しました。


「わかりました。できるかはわかりませんが頑張ってみます」

「イリーがいればなんとかなりそうでしょ」


 ムームが私の方を見ました。


「わたしですか?」

 驚いて自分に指さす私。


「ここにあたしたちがこうやって集まっているのもイリーのおかげだよね」

「私はただ、皆さんと仲良くなりたかっただけですよ」

「でもあたしたちにとっては、友達になるって結構難しいことなんだよ。どうしても上下関係を意識しちゃうからね。イリーに自覚がなかったとしても橋渡しで友達の輪が広がっていけばありがたいよ」


「わたくしもそう思うわ」

「そうですね」


 ムームの言葉にサメア様とフランさんが同意しました。


 母の若いころとは時代が違うのでしょうか。


 憧れの魔法少女のように、私は貴族のご令嬢たちとお友達になることができましたよ。


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