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1話 そして運命は動き出す

小説を書く経験があまりないので、かなり雑で見にくくなっているかと思いますが、暖かい目で見守っていただけると嬉しいです!

 僕は電車に乗っていた。右手はママの手が、左手はパバの手が重なっている。少し寂しさを感じる電車の中、そこは曇天日和であることもあり、不気味なほど静まり返っていた。


 スーツを身にまとった中年のサラリーマン、ギターを持ちながらイヤホンで音楽を聴き、外の景色を眺めている20歳を少し超えているだけだと思われる若い女性、制服姿でスマホに視線を落としている高校生、何気ない日常だ。


 僕はやることがなくを1つ、大きな欠伸をした。ゴトンゴトンと心地の良い一定のリズムで電車が走る。そんな時、ふと僕は胸にムズムズとした感覚に襲われた。顔を上にあげると、同い年くらいの可憐な少女が僕を見つめていた。


「ん?」


 その少女はキョトンとした表情で首を傾げた。それから親の元を離れ僕の目の前にやって来た。


「ねーねー君は運命を信じる!?」


 ハキハキと喋る少女、僕は少し、いや大分怖気づいてしまった。僕はまだ子供だ。女の子とこんな近くで喋ることなんてない。僕は左右に目を泳がせ、パパとママに助けを求める。けど2人ともニコニコとしながら見守っているだけだ。


「ねぇ?聞いてる?運命って、あると思う?」

「わ、わかんないよ…」

「そっかーーー」


 少女はさらに1歩前にでてきた。僕との距離は顔1個分ほど、心拍数がどんどん上がっていくのを感じ、少女と目がパッチリとあったのを確認する。

 それから少女の両手がスっと前に出てくる。


「ひっ…!」


 僕の口から控えめな悲鳴が漏れる。そんなことはお構い無しに少女はニヤニヤしながらさらにもう1歩踏み出す。そして彼女の両手が僕の頬にピタッとくっつく。


「君とはまたどこかで会う気がする!これって運命なんじゃない?切っても切れない縁、そんなものを感じるの!」


 僕は困惑した……何を言ってるのか理解できない……初対面の人間に言うことなのだろうか。そう思いながらも僕はゆっくりと口を開き、震える声で言葉を発した。


「き、きっとそう…運命だね…」

「ふふ?そうでしょ!」


 思ってもないことを口にしたことに少し罪悪感を覚える……が、この場合これが最善なのだろう。

 少女は満足そうな笑顔をこちらに向けている。


「じゃあ最後に名前を教えて?」

「な、名前…ぼ、僕は鎖是(さぜ) 綱紀(こうき)

「綱紀!素敵な名前ね!」


 そう少女は言ってからぴょんと1歩後ろに飛ぶ


「私はね!上戸鎖(かみとくさり) 柄鎖(つかさ)!また会おうね!」


 さらに1歩、もう1歩後ろに飛んだところで電車に異変が起こった。ガキンっと金属が弾け飛ぶ異様な音が耳を突き刺す。


「ひっ…!!」


 隣から親の悲鳴が聞こえる。異変に気がついた周りの大人が甲高い悲鳴をあげる。近くにある金属棒にしがみつくもの、その場に蹲るもの、人それぞれであるが、身を守るという共通の意味を持った行動である。


「パパ!ママ!」


 僕もすぐに両親にしがみつく。パパもママも僕のことを包み込むような形で抱く。その時、幼く甲高い悲鳴が聞こえてきた。


(柄鎖ちゃんだ…この悲鳴は柄鎖ちゃんのだ!)


 そう思うといてもたってもいられなくなった。会って間もない、友達とも言えないような存在だ。気を遣う余裕もない。けど、『また会おうね!』この一言が頭の中で反響する。分かってはいる。助けに行く必要なんてない、それにこの中にいる以上、皆等しく危険な状態なのだ。助けるという行為自体が無駄であるというのも……


(どうする…?出ていくか……けどきっと意味が無い)


 思考しているその時だった。僕は身体が宙に浮く感覚を感じた。臓器が上にあがる、そして直ぐに叩きつけられる。全身が痛みで熱くなる咳が止まらない。不協和音を奏でるように電車がブレーキをかける。

 少し離れた所から柄鎖ちゃんの呻き声が聞こえてくる。


「うぅ…助けて…」


 僕は足を動かした。自分でも呆れる、意味がないと分かっているのに何をやっているのだろうか……全身が痛む、血反吐が出そうだ。けど今は無視をする。やるべき事は柄鎖ちゃんを助けることだ。


(だがどうする?今するべきことはなんだ!外に投げ出すなんて以ての外、僕がかばっても意味なんてない…)


「柄鎖ちゃん!」


 僕は柄鎖ちゃんの手をとる。自分の今出せる全力の力で立ち上がらせる。そして近くに落ちているキャリーケースを拾い上げ、中身を荒い手つきで引っ張り出す。少しでもクッション性のあるもの……ある物全てを柄鎖ちゃんにかけていく。意味がなくてもいい…少しだけでもいい、生存出来る可能性を上げろ!


「なっ、早く逃げて!!!」


 柄鎖ちゃんの絶叫が聞こえてくる、だがそんなことを聞いている暇はない。逃げるもクソもない状況だ。それにもう時間が無い。最初の異音から既に30秒はたっている。むしろこれだけ持ちこたえているのが奇跡だ。


 それからすぐの事だった。もう一度身体が宙に浮く、さっきよりも確実に高く。


(これは倒れる…!)


 確信することができた。明らかに今までとは違う、空気、脳を震わす金属音、脱線したことにより電車が傾く。すぐに僕は柄鎖ちゃんをだき抱える体制に入る。


「ダメ!!」


 これが僕の()()()()耳から聞いた最後の声であり、人の温もりであった。

 グチャッと血肉の潰れる音が聞こえるたのと同時に僕の意識は暗闇へと落ちていったり


 ーーーーーー


(僕の割にはよくやったのではないだろうか。あの危機的な状況だ。まだ子供の身体と頭、よく動いたと思うよ……結局無意味な行動だったのかもしれないけど)


 暗闇の中で出ないため息をつく。


(それにしても僕は死んじゃったのかな?まだ死にたくないなぁ……まだまだ子供なんだし……小五だよまだ?)


 死んでも頭はよく動くらしい。身体の感覚は全くない。けれどほんの少しだけほんとうに薄らと明かりが見える。掴めるか腕を伸ばしてみる……掴めない……まあ当たり前だよな。けど意地でも戻るぞ僕は!柄鎖ちゃんに会わないと……声は出ない、けど空気を切り裂くような叫び声をあげた。少しずつ明かりが濃くなっていくのを感じる。帰るぞ僕は!!


 ーーーーーー


 目を開ける天井は白い……首を少し、無理やりあげる。手足はグシャリと潰れ、砕けた骨がはみ出している。腹部だってそうだ、握り潰した柘榴のような臓器、赤黒い色合いになり流血している。


(これは……助からないよなぁ……)


 声が聞こえてこない。白い服を身にまとった医者と思われる人間が複数人みえるのだが……わからん、何をされてるんだ?


「カハッ…」


 自分の口から血が吐き出されたのを理解した。意識をまた手放しそうになる。もう長くは持たないかもしれない、そんな不安が頭をよぎる。すぐ側に白服の人間がやってくる。手には何かを持っている……霞んでうまく見えないが、僕になにかするつもりなのか?


 スっと首元まで医者の腕が伸びてくる。チクリと痛みが首筋に走る。それと同時に急激に意識が暗闇に引きずり込まれるのを感じる。


(ダメだ……持ってかれる……!!)


 それからのことは何も覚えていない。だがこの日を境に僕の人生は大きく変化した。


 ーーーーーー


『ピピピッ』っと目覚まし時計のアラームの音が聞こえてくる。俺はアラームの音が10回ほど鳴ってから、ゆっくりとアラームをきる。


 まだ少し肌寒さを残す季節である。布団から出るのが憂鬱な気持ちだ。実際は寒くもなんともないのだが……それにしても嫌な夢を見た……最近は悪夢に魘されることなんてなかったのにな。


 キシキシと音を立てながら()()()()()()()()をゆっくりと起き上がらせ時計を見る。時計の針は6時20分をさしていた。


 俺は深い溜息を着きながら自分の部屋を出ていく。ミシッミシッと身体からは悲鳴にもにた音が聞こえてきた。その音を無視しながら階段を降りていく。


 同じ朝を何回見てきただろうか、何の変哲もないただの朝、退屈で仕方がない。起きて、朝食をとり、顔を洗い、歯を磨き、身支度を整える。だがこれらの作業は俺にとって、必要なようで必要のない作業なのかもしれない。


 そう考えると少し虚しい気にもなってくるよな……

 そんな事を想いながら支度を終える。だが今日の朝は少し特別だ。なんたって今日は高校の入学式だ。


「高校か……高校生になったら何か変わるのかな?」


 鏡に映る自分に問いかける。解答は何もない、当たり前の話だがね?近頃憂鬱な気持ちになることが多い。決して自分はいつもこのように溜息をつき、人生に絶望をしている訳では無い。そこは勘違いしないで頂きたい。

 ただ、中学の頃の友達と離れてしまったことで寂しいと思う気持ちがあるだけだ。この気持ちも時間が経てば、高校で新しい友ができれば解消されるだろう。


 それから新品の制服を身にまとい、少しずつ心の鎖が落ちていくような清々しい気持ちになっていくのを感じる。心地がいい……少し口元が緩んでしまう。ニヤニヤとしていると玄関の方から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。


「ほらー入学式行くわよー!」


 お母さんだ……もうこの歳である、それなりに自由になりたいというものだ。


「わかったよ!!すぐ追いつくから先に行ってて!!」


 息を大きく吸い、適度に声を張り上げる。そうすると「はーい、すぐ来てねぇ!」と返事が返ってきた。


 それから10分程経過し、忘れ物がないことをしっかりと確認してから靴を履く。ピカピカと黒く光る新品の靴、テンションアゲアゲである。


 ドアを開けてから大きく1歩踏み出す。それから肺が新鮮な空気でいっぱいになるように息を吸い込む。

 新鮮な空気、肺が満たされる感覚、それを感じたことはないんだけどな……そんなことを想い苦笑しながら俺は歩き出した。


 これから始まる物語、それを俺はまだ知らない……

どうだったでしょうか?行き当たりばったりで書いたので主人公の設定がもう意味わかんないことになってしまいすみません…w週に1話のペースで出せたらななんて思っています。誤字などの報告気軽にしていただいて大丈夫です!完結できるように頑張りますので、感想など頂けると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 非常に表現豊かに書かれている。 主人公の心情がはっきり書かれていて人物像が分かりやすい。 [気になる点] 特になし [一言] とても次が気になる内容でした。 ぜひこのまま書き続けて下さい。…
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