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※旧版につき閲覧非推奨 彼方を見るものたちへ  作者: 二立三析
第四章 魔術協会での生活
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第八.五節 賢者たちの感想

 

「――どうだった?」


 一切の物音なく。執務室に不意に現れた老女、リア・ファレルが声を掛ける。


「……」


 受けた秋光は無言のまま、手にしていた数枚の書類をリアへと手渡す。担当の支部長たちから送られてきた報告書。


「……四人中一人が支配者の適性持ち。立慧の動きに反応出来るだけの身体能力に、稀に見る概念魔術の使い手。蔭水の一族。【心眼】に加えて【気運操作】まで通じない高位の加護……」


 書類を捲りつつ、リアは項目のうちの目ぼしい点を挙げていく。


「永仙と奴らが狙うだけあって、中々の大粒揃いじゃないかい」

「……だが、なぜ彼らが命を狙われるのかは分からなかった」


 そう言って肩を竦めて見せたリアに、軽いとは言えない声で秋光は言葉を返す。当事者と思しき四人を抱え込んでも事態を切り開く糸口は見えない。いや、寧ろ事情は益々その混迷さを深めたと言っても良かった。


 これだけの才能を持つのであれば、彼らは今でこそそれなりの技能者しかないとはいえ、正しくダイヤの原石のようなもの。少なくとも力量について言うならば、磨けば光ることが約束されているような人物だ。


 ――人材を求めるなら誰しも喉から手が出るほど欲しい。そんな希少かつ上質な戦力の卵たちを、なぜ凶王派は見す見す砕こうなどとしているのか?


 常識的に考えれば有り得ない。四人全員を殺そうとすることなど論外だ。人格的に望ましくない点があったとしても、年齢を考えれば十二分に矯正の余地はある。彼我の形は大きく違えど、同じく組織を率いる者としてその判断は有り得ないと秋光には断言できる。だからこそ不可解。


 いやそもそも、稀有な素質の有無が彼らが殺害目標にされたことと関係しているのかどうか――。


「……」

「この嬢ちゃんだけは特別なんの才能も持ってないんだね」


 断言はできないが、していないとは考え辛い。そう考えていた秋光の前で、リアが四人の内の一人について言葉を漏らす。


「ああ。適性も何もないそうだ。背景については調べさせているが……」

「もう少し突っ込んで調べてみても良いかもしれないね」

「……なにかあるのか?」


 最長老のリア。その慧眼は一考に値するものがある。


「いや? ただまあこういうときには、思いもしなかったところに何かがあることも往々にしてあるってことでね。あんたと同じで、私だってこの娘には何もないと思うさ」


 だから――と。そう言いたげな眼でリアは秋光を見る。


「当たれる可能性は当たっといた方が良い。あとになって、後悔する前にね」

「……そうだな」


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