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第十四.五節 王たちの判定


「――」


 一瞬にして。始めから無きが如く容易に解かれた帯。その気はないとはいえ、僅かたりとも緩むことのなかった拘束の残滓を、男は動かした指腹で追い遣っていく。……目を細め。


「……確認が取れた、ということか?」


 久方ぶりに自由となり、暗闇に照らす僅かな明かりでさえ、刺すように感じられる視覚。幾許か鼻にかけたように言った男の眼の前で、華美な衣装に身を包んだ女性がふん、と鼻を鳴らす、


「勘違いはしないことですね。――虜囚に等しいという、己の立場を弁えることです」

「組織の構成員を張らせていた人員が連絡を絶った」


 魔王。その深紅の瞳は、深く見通すように男の眼を見つめている。


「構成員共々、不自然な形で。死体を見るに組織の手によるものとは考え辛い。今回の件を踏まえ――」


 魔王がパチリと指を鳴らすと。その所作に答えたかの如く、暗闇から一片の巻物が出てきた。


「最低限の誓約として、お前にはこの書面にサインしてもらう」


 手に取った巻物を広げ、男は現れたその厚い紙を認める。……これは。


「……なるほどな」

「お前の言動が真ならば、厭うに足りまい」


 突きつけられた選択は明らか。偏に注がれる、一対の視線を覚え。


「――いいだろう」


 男は迷うことなく、添え付けられた筆を指に執った。


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