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第三十一節 純白の愛
――嘘だった。
忘れてしまってもいいなんて、思えるはずがなかった。
苦しみも悲しみも、辛いことだって多かった。
でも、あなたが隣にいる毎日は、本当に輝いていて――。
――覚えていて欲しかった。私のことを、いつまでも忘れないでいて欲しかった。
だけど、あなたがこれから幸せになるためにそれが必要だというのなら。
私は――。
……。
――ずっと夢を見ていた気分だ。
私の隣にいるあなたが笑っていて、あなたの隣にいる私も、笑っている。
二人はずっと一緒。同じ人生を歩んで、いつまでも幸せに。
そんな悲しいくらい、幸福な未来を。
――でも、夢には必ず終わりがある。
もう、目を覚まさなくてはいけない時が来たのだ。
――だから私は嘘を吐く。
涙を呑んで、笑顔でお別れを告げる。
――どうか、幸せになって下さい。
ただその思いだけで、胸を一杯に埋め尽くす。
――さようなら。
さようなら。
さようなら――。
あなたがこれから行く先に、少しでも多くの幸せがありますように。
私はあなたをいつまでも――。
――見守っています――




