表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
382/415

第十二節 破れ

 

「――ッ‼」

「――⁉」


 刹那の間を置いて黒と黒金の斬撃が激突する。……断ち切れない。まず初めに感じた手応えが示すのはそのこと。


 ――競り合っている。次の驚愕はその事実。金色の輝きを放つ刀身は、邪気で塗り固められた黒紫の剣身に対し一歩も引かず。


「――」


 あり得ないその光景に永久の魔は瞠目する。……膂力で押しているのは自らの方だ。それは事前の予測の通り、当然の如くに疑い様がない。


 だが。自身の目の捉える光景が間違いでなければ。その剣身へ、僅かずつ刃を喰い込ませてきているのは――。


「――っ」


 咄嗟に遊んでいた左腕を差し加える。――止まらない。全霊の膂力を以てしても止まらないその軌跡に、あらぬ予感を覚えて退こうとした瞬間。


「――」


 視界を覆う光に邪気が一瞬で取り払われる。――これは。


 少女の神聖――。


「――どこ行くんだよ?」


 背後から突き付けられた声。諸手を用いてなお食み来ている攻防の最中に、永久の魔に応える余地などあるはずもなく。


「遠慮しないで喰らってけよ。折角、もう一発あんだからよ」


 膨れ上げられるその闘気を。ただ、背越しに看過するしかなかった。


「【覇者の――剛拳】――ッッッ‼‼」


 大きく引き絞る気配。一毫の間を置いて、超重を秘めた拳が尋常ではあり得ない速度で背面を撃ち殴る。固めた邪気を貫き、衣服を穿ち、永久の魔の体躯にまで届かせて。


「オオオオオオオオオオオオオオオオッッ‼‼」

「アアアアアアアアアアアアアアアアッッ‼‼」

「――っ」


 下がれない。我が身を揺らすのは魂まで擲つような二重の絶唱。……向き合わされている。光の中をなお貫き進んでいる、この輝きに――。


 ……そして不意に。


「――……ッ」


 消え失せる手応え。目の前に訪れたその光景を、信じられないような目線で追っている自らを永久の魔は自覚する。


 ……馬鹿な。


 全ての罪を断ち切る、『断罪の剣』が。


 ――折られるなど――……。


 凝視した時の中でゆっくりと宙を舞う剣身。訪れた千年来の驚愕を抱えたまま。


 その身に断裂を深く刻み。永久の魔は、背中から地へ倒れ落ちた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ