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詐欺師の秘密2

今回の話を読む前に、出来れば!ゴミスキルの使い方2から再読する事をオススメします。

「騙されてるってどうゆう事?」


「私と契約書交わしましたよね?」


「うん」


「内容、覚えてますか?」


「あんたに不利益になる行動禁止だっけ」


「ええ、ですから化け物討伐は出来ません」


「……化け物倒したら、あんたに金が入ってこなくなるからって事か」


「理解いただけて何よりです」


「ゴミスキルだと侮ったのが敗因かな」


 少年は天井を仰ぎ、目を瞑り深い溜め息をつく。よっぽど騙されたことが堪えたのだろう。


「え?」


 再び目を開けると、目に入ったのはさっきまで居た店の天井では無く、ただ無限に広がる白だった。


「おや?懐かしい所ですね」


「あんたもおるんかい」


「来たのぅ、少年」


 声のする方を見ると知った顔があった。


「あ、神様~。お久ー」


「では、色々聞かせてもらおうかのぅ」


「え?どゆこと?そもそもなんで俺、戻って来たの?」


「あぁ、お主に罠張っといたんじゃよ」


「罠?」


「実はお主で転移者は13人目なんじゃ!」


「知ってる」


「あ、そう?で、12人も送って1人も討伐せんかったからのぅ。もしお主が討伐出来ぬ状況になったら強制的に原因と共に戻ってくるようにしといたんじゃ!」


「へー便利ー」


「で、原因は……んん!?」


「神様どしたの?」


「もしや……討伐出来ぬ状況になったのは此奴の仕業かぁ!?」


 神様は驚きと怒りを隠しきれず、大声をあげ詐欺師を指差した。


「あ、うん。そだよ」


「お久ぶりですね、神様」


「え?2人知り合い?」


「知り合いもなにも、此奴が1人目の転移者じゃ!!」


「え!まじ?」


「本気まじマジじゃ!!」


「でもチートスキル持ってないよ?」


「持ってますよ」


 2人のやりとりに詐欺師は口を挟んだ。


「え?持ってんの?」


「はい」


「もしかして契約書の奴?」


「その通りです」


「あれゴミスキルじゃ……」


「あれがゴミスキルなわけあるかいのぅ!!」


 神様はまだ怒っていた。


「どこがチートなの?発動条件と効果見合って無くね?」


「あのスキルは確かに条件はキツイ、じゃが効果は異常じゃ。お主はあのスキルの効果をなんじゃと思っとる?」


「相手の行動を強制、制限する、だと思ってる」


「違うんじゃよ。あのスキルは相手の概念思考を書き換えるんじゃ」


「……どゆこと?」


「例えばじゃ、騙されて100万円を渡す契約をしたとしよう」


「うんうん」


「行動の強制ならば、騙された事に気付いた相手は嫌だと思いながら渡す事になる」


「まぁそりゃなぁ」


「じゃが、概念を書き換えるとそれが当たり前になる」


 少年は少し考える。


「……もっと分かりやすく」


「……相手は100万円を渡す行為を、契約書を交わすまでも無く、当たり前の行動だと思うようになるんじゃ」


「チートじゃん」


「チートじゃ」


「ゴミスキルって言ってたじゃん」


「あなたが勝手に勘違いしたんですよ。詐欺の技術に相手の思い込みは否定せず利用するってのがあるんです。人間は自分の思い込みは盲目的信じますからね」


「ムカつくわー」


 ここで少年はある事に気がついた。


「でもさ、俺普通に討伐準備しようとしてたよ?書き換えられてなくね?」


「討伐準備だけでは私に不利益無いですから」


「なるほど……」


「さて、討伐が行われなかった原因もわかったし、少年にはまた討伐に戻ってもらおうかのぅ」


「はーい」


「私はどうするんですか?」


「お主は流刑じゃ!流刑!」


「流刑、ですか?」


「うぬ、別の世界に流しちゃるわ!」


 神様はそう言って杖を振る。

 すると、詐欺師の体は光に包まれた。


「問答無用ですか」


「せめてもの情けじゃ、価値観が同じ世界に流してやろう」


「お優しいですね。ありがーー」


 言い切る前に詐欺師の姿は消えてしまった。


「さて、世界を隔てればあのスキルの効果はなかった事になる。少年には悪いが、また討伐に戻ってもらおうかのぅ」


「はーい」


 再び神様が杖を振ると、少年は光に包まれ姿を消した。


「ふぅ、これでなんとかなるかのぅ」


 神様はそう言って胸を撫で下ろした。

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