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ゴミスキルの使い方3

「そう言えばさ、詐欺の内容ザックリでいいから教えてくれない?」


 ギルドへ向かう途中少年が口を開く。


「内容は見てのお楽しみですよ」


「なら気になったこと聞いていい?」


「それぐらいでしたらどうぞ」


「詐欺相手のこととかって調べないの?」


「今回の相手は良くも悪くもこの街では有名人です。慌てて調べなくても私調べのデータに既に入ってましたよ」


「へー、色々調べてんだ」


「そりゃ勿論、この街は拠点ですから。特にギルドの有名人は調べてますよ」


「あ、何も考えずにギルドに行ってるけどギルドで詐欺るの?」


「あれ?言ってませんでしたか?」


「聞いてない、はず」


「そうでしたかね」


「その辺も教えてよ」


「そうですね、それぐらいでしたら」


「やったー」


「まず今日ギルドで決闘が行われます。決闘はギルド公認、更に冒険者の娯楽の為に公認の賭けが行われます。この賭け金の一部は勝者に支払われます」


「はいはい」


「そして決闘するのは『万年ブロンズランク』と呼ばれるザッコー、そして『汚れた金』と呼ばれるゲッスの2人です」


「(モブっぽい名前だな…)2人の詳細教えてよ」


「いいですよ。まずザッコーですが、彼は弱いです」


「予想通りすぎる」


「にもかかわらず、かなりのビッグマウスです」


「うわームカつくタイプだわ」


「ゲッスはですね、かなりゲスです。勝つためなら手段は厭わない。弱者はいたぶる、強者に媚びる。そんな奴です」


「うん。予想通りだったわ」


「今回の決闘理由は、ザッコーが仲間に「俺が本気出したらゴールドなんてあっという間だ!ゴールド冒険者と決闘しても勝てるぜ」などと大口を叩いていたのをゲッスが聞いていたらしく「それはゴールド冒険者に喧嘩売ってんだよな?勝てるんだろ?なら決闘だなぁ」と、勿論ザッコーはビッグマウスですのでそこで引かず、決闘受けちゃったみたいです」


「うわー、ってか何でそこまで知ってんの?」


「昨日宿で知り合いの冒険者に電話で聞きましたよ」


「あ、この世界電話あるんだ」


「そろそろ大通りですね。昨日と違い、今日は出店日じゃないので道に車が走るんで気をつけてくださいね」


「車もあるのか、今完全に異世界無くなったわ」


 そこから歩くこと5分、2人はギルドに到着した。

 決闘があるからなのか、昨日よりも人が多く、熱気もすごいものだった。


「え、決闘ってギルドでやるの?」


「そうですよ、正確にはギルド併設の闘技場ですけどね。普段はそこでランクアップ試験とかやってますよ」


「異世界戻ってきたわ。よかったよかった」


「それじゃ、まずはザッコーの控え室に行きましょう」


 2人はギルドの奥にある部屋へ向かう。


「試合前に会えるの?」


「ええ、昨日ギルドに話は通しましたから」


「良く通ったな」


「昔、仕事しやすいようにと、ここの職員数人騙して契約書交わしましたから。幾人かは私の邪魔にはならないんです」


「結果だけ聞くとゴミスキルに聞こえないよな。まぁ過程考えるとゴミなんだけど」


「さぁ着きましたよ。ザッコーの控え室です。さぁお仕事ですよ」


 詐欺師はおもむろに扉を開けた。


「!?誰だ!」


「初めまして、ザッコーさん。私は薬師のヤック・ウリーと言います。」


「(絶対偽名だな)」


「薬師がなんの用だ!」


「おやおや、顔色が優れませんねぇどうかされましたか?」


「今から決闘なんだ!帰れ!」


「まぁお話だけでも、いい話があるんです。決闘の事で不安があるのでは?」


 詐欺師のその一言でザッコーの態度が変わる。


「話だけなら」


「ありがとうございます。実は今私はある薬を開発してます。それがこちらです」


「(さっき混ぜたジュースじゃん…)」


「それがどした」


「この薬はストレスによる不安を取り除いてくれるんです」


「不安が消えても仕方ねぇだろ!相手は格上なんだ!」


「(格上って認めてるのね。かなりテンパってるし大口叩く余裕も無いのか)」


「お話は最後までお聞きください。実は少し副作用が大きくてですね。不安を取り除くのですが、一時期的に興奮状態となり、レベルやステータスが上がる事もあるんですよ」


「!!」


「人体実験にはなりますが、ご協力いただけますか?」


「…やる」


「それはそれは、ご協力ありがとうございます。では契約書にサインと血判お願いできますか?」


「血判?なんで?」


「実は私のスキルなんですがね…」


 詐欺師はザッコーに自分のスキルについて説明をした。


「なるほどな、とりあえず契約書見せてくれるか」


「はい、こちらでございます」


「契約書


 この契約書にサイン及び血判を記す者(以下、甲とする)は下記の内容に同意したものとみなす



 1.この契約書は乙から提供されるもの(以下、丙とする)に関する契約書である


 2.甲が、この契約書を用いて甲と契約を結ぶ者(以下、乙とする)、の不利益になる事実を第3者に伝える事を禁ずる


 3.甲が第3者に契約内容、及び丙の存在を伝えることを禁ずる。ただし、丙による身体への悪影響が認められた場合、医師に情報、及び丙の空ビンを提供すること


 4.乙により提供された丙による体への悪影響が認められた場合、乙は甲が受けた不利益を補填するものとする


 5.決闘中の甲を乙が観察し、そのデータを活用する事が出来るものとする


 6.この契約における丙の受け渡しに金銭は発生しないものとする






 名前______印」


「やたらと口封じみたいな文言があるがなんでだ?」


「まだ開発中の薬ですからね。外部に出来るだけ情報を出したく無いのです。けれども契約書にも書いてある通り、もし悪影響が出たら医者に行ってくださいね。働けない期間の日給や受診料はこちらで保証しますので」


「なるほどな、ちなみにもし負けたらどうしてくれる」


「残念ながら勝つことを保証はできません。ステータスやレベルが上がる事は保証出来ませんから」


「…まぁ飲まなかった100負けるし、飲むしか無いかな。サインと血判だったな」


 そう言ってザッコーはサインと血判を印した。


「ありがとうございます。これで契約成立ですね」


「薬は今飲むのか?直前か?」


「直前の方が良いかと、比較的早く効くのでご安心を。それでは私たちは失礼しますね」


 こうして契約は成立し、2人は控え室を後にする。


「いやらしい書き方するね」


「どこのことですか?」


「全部だよ。けど特に酷いのは医者のくだりだろ。薬の悪影響なら医者に言っていい。って薬の悪影響って言うのは医師の診断だろ?薬の情報無いと医者は薬の悪影響とは言えない。つまり、あいつ医者に絶対言えないって事だろ?」


「察しがいいですね」


「でもただのジュースじゃん。そこまでやる必要あったの?」


「流石にアレルギーの有無までは調べれないですから」


「あぁ、理解」


「わかっていただけて何よりです」


「あとさぁ、俺思うんだけど金銭発生しないなら意味なくね?」


「仕事はまだ終わってませんから」


「??」


 そう言って詐欺師は先程の契約書に7.の項目を書き足した。


「え、後から書いても意味ないんでしょ?何してんの?」


「スキルの効果は適応されなくとも意味は出てきますよ。さぁ仕上げに行きましょうか」


「あ、まってー」


 そう言って詐欺師は歩を進めた。

長くなったんでゴミスキルの使い方4までいきますね。ごめんなさい



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