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好きになれない  作者: 大久保ひより
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消えないドライブ

サヨ子には年子の妹がいる。

もう、10年ぐらいあってないその妹の事を最近なぜだかよく思い出す。

サヨ子が最後に妹に会ったのは父の13回忌の法要の席だった。

サヨ子の父は晩秋に亡くなったので、法要の席では茄子の田楽が饗されることが多い。

10年前の法要の席でも茄子田楽が饗された。

サヨ子は独り身なので自分の席で黙々と料理を食べていると、妹の千春の席の方から妹の旦那が声を荒げるのが聞こえた。

「俺のせいかよ!」と千春の旦那は千春に怒鳴っている。

「洋二さんが茄子食べんから、この子も食べんくなったんだって!」と千春が言い返している。

ああ・・・・とサヨ子は思った。

新婚当時の甘々ぶりを知っているだけにこの怒鳴りあいは興味深いものがあった。

千春が生まれてきてサヨ子が18で家を出るまでサヨ子は17年間千春をそばで見ていた。

年子の姉妹だから仲が良く思われているし、サヨ子もそう思おうとしていたけど、やっぱり自分は千春の事を好きになれないんだな、とまた思い茄子に箸を伸ばした。

夫婦喧嘩は終わったらしいが、洋二さんの

「こんなはずじゃなかった」と言わんばかりの顔を見て

「大変だな」と思う。よく千春と一緒に居るな、とも思う。子どもが居るからな。と重ねて思う。


千春の前では誰だって気が抜けないのだ。


最近思い出すサヨ子と千春のエピソード。

2人の母親、昌子は異様な所があるひとだった。

サヨ子は昌子の事を成人してから「キチガイ」だと思っている。

子どもの時はただただ怯えるだけだった。

それは千春も同じだろう。

子どもに容赦なく手を上げる、子どもが嫌がったり恥ずかしがったりすることを好んでする。

あ・・・・そういえばサヨ子が7歳ぐらいの時昌子は車のトランクにサヨ子を入れ30分くらい運転を楽しんだことがある。

サヨ子は真っ暗なトランクの中で内側からドンドンとボンネットをたたき、叫び、もがき、昌子が車を駐車し、トランクを開けた時には虚脱して、もう死んでしまうと思ってぐったりとしていた。

サヨ子が何か「悪い事」をしたお仕置きならまだ意味も通るけど突然抱き上げられてトランクに入れられたのだ。

サヨ子をトランクに入れてドライブをした後トランクを開けた昌子は上機嫌だった。

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