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夢かうつつか

6月18日に改稿完了しました。


最初のセリフ主を書かなかったのはセリフ主が事実上不明という意味です(今回は少し読めば発言主がすぐわかりますがあえて不明にしました)

"?「~(セリフ)"という形にしてもよかったのですが、なんとなく無い方がいい気がしたので無表記にしました。

ただ今後は発言主付きセリフと「」の端を合わせるために空白を入れる可能性があります。


文章も増やしたり減らしたりしました(ほとんど前半)

「…き…、……ね」


どこからか聞き慣れた声が聞こえる。


雫「起きてってば!」

茜「うわっ!」


なんだ、雫か。

私は情けない叫び声とともに飛び起きた。


茜「…って、なんでこんなとこいるんだ?」

雫「寝っちゃってたのよ。茜も私も。それにみんなも」


…あっ。そうか思い出した。

私たち、森で寝っ転がってたんだった。

あれからどれくらいたったんだろう。

私たちはぐっすり寝入ってしまっていたらしい。


雪「…とりあえず帰ろうよ」

こ「…ああ」

ち「そうですね」

茜「さすがに親に怒られるしな…」


雪音の言葉に一同が賛同し、私たちは家に帰ることにした。


――――――――


茜「…なあ、ホントにこの道で合ってるのか?」

卯「知らないわよ。あんたこそ地元民なんだから知ってるはずでしょ」

茜「あんな奥まで行ったことないよ」


私たちは道に迷っていた。暗く、寒く、道が分からない所を、三日月の僅かな光を頼りに近所の森という名の迷宮(ダンジョン)の出口を目指した。

終り無き道をひたすら進む。果て無き作業にこれが夢であるよう願う。時々それが口からこぼれそうになる。

毒蛇がいたらどうしよう。大きな熊が突如襲い掛かってきたらどうしよう。行った先が断崖絶壁だったらどうしよう。そんな不安が頭をよぎり始める。

とにかく怖い。夢なら早く覚めてまたみんなと笑いあいたい。



ち「あっ!あそこ光らしきもの見えますよ!」

茜「え!?出口か!!」

雪「やっと帰れる!!」

こ「バンザーイ!!」

美「温かい我が家…」

卯「助かった…」


見えた…希望の光…。

私たち帰れるんだ…。

みんなの喜びに声を横目にそんなことを思っていた。

いや、みんなもきっと思っているはずだ。



茜「一気に行くぞ!突っ込めーっ!」

ち美「はい!」

卯こ雪「「「イエッサー!!!」」」



私たちは希望の光に向かって満面の笑みで、全速力で向かった。



――――――――



茜「なんだよここ…」


私たちは見たこともない景色に遭遇した。

レンガ造りの建物、錆びた煙突から舞い上がる煙、馬車を操る若いお兄さん、麻製の大きな袋を運ぶ大きなおじさん。私たちが住んでいた町の風景は微塵にも無かった。

"希望の光"は"絶望"へと変貌したのだ。



雫「それにしても歪んだ建物ね…あんなの住めるのかしら」

こ「歪んでないよ」


しまった!こんな時に!

雫は薬の禁断症状(初期段階)で視界が歪んで見えているらしい。


雫「…なんでこんな時に変顔なんかしてるの?」

卯「だからしてないよ」

ち「…もしかして薬切れたんですか?」

こ「そうみたいだな」

雫「そう言われてもホントに持ってないのよ。どうしてくれるのよ」

美「私たちに言われても…」


ホントだよ。私だってそんなの持ってないわ。

にしてもどうしたら…ここに置いてくわけにもいかないし、連れていけば暴れるかもしれないし…


雪「仕方ないなぁ。私の分けてあげるよ」


…は?"私の分"?


卯「なんでヤク中が増えてるのよ」

茜「ヤク中二人は面倒よ」

雪「いや、打ってないよ」


そう言って雪音はかばんから注射器を数本取り出した。


こ「本当に持ってやがるこいつ…」

雫「一本ちょうだい。で、なんであなたが持ってるの?」


そう言って雫は雪音から注射器を一本受け取る。そして腕をまくり、無数の針で浅黒くなった腕に針を刺す。何度もあの腕は見ているがやはり慣れない。

雫の表情は険しくなった。恐らく腕の表皮が硬化して刺さりにくいのだろう。


雪「この前雫さんの家に行ったときにさりげなく盗んだんですよ~。ほら、ノーマルモードの雫さんって賢いじゃないですか。だから興味本位でやっちゃったんですよ。えへへ」

こ「「えへへ。」じゃないよ」

美「というかまだ盗み癖治ってなかったのね」

雫「本当なら怒りたいところだけど今回限りはあなたのおかげで助かったから礼を言うわ。ありがとう」


盗みが幸をなす時もあるんだな。

…今回以降絶対無いと思うけど。


雫「ふぅ。これだけあれば3日は持つわ」

茜「じゃあそれまでに元に戻れる場所探そうか」



雪「てかさ、」


突然雪音が言う。


雪「これもしかして夢なんじゃない?」

茜「確かに。よく「ほほを引っ張れば夢か夢じゃないか分かる」とかあるわね」

雪「あれでも結局やってきた人全員現実だったってオチじゃない」

卯「じゃあどうするのよ」


バコーン!


突然雪音が卯乃のほほを殴る。


卯「なにするのよ!」

雪「殴ればいいんだよ!夢かうつつかが判明する一番の方法だよ!!」


いやめっちゃ怒ってるやん。

どこに"一番の方法"要素があるんだよ。


卯「許さない…許さない…」


卯乃が起き上がる。

これはもしかして…


卯「許さないっ!!!」


やっぱりだ。予想通り今度は卯乃が雪音を目がけて殴りかかる。

…しかし当たったのは舞香菜のでこだった。

雪音は現役時代の経験を活かし、うまくかわしたのだ。


舞「…上等だな大富豪の駄目娘」

卯「あ、いや、えっと…」


舞香菜が女に対して怒ったのは私が見た中で初めてかもしれない。

てっきりご褒美なのかと感じるとばかり思っていたが。


そして乱闘になる。

それを私たちは定番のほほつねりをしながら見ていた。


ち「…痛いだけですね」

茜「…ええ」

美「…ホントに来ちゃったのね。この意味わかんない世界に」


どうやら夢ではなく本当のようだ。"来た"というよりは"連れてこられた"の方が合ってるのかもしれないけど。

それにしてもなんでなんだ。私の成績が悪いから?夜遅くまで遊んでいたから?この前姉の部屋のシャーペンの芯全部抜いて、ボールペンの中身全部黒インクにしたから?それとも本当に誰かに連れてこられたの?


ち「…茜先輩」

茜「…はっ、はいっ!!」


いきなり話しかけられて驚く。声が裏返ってしまった。


ち「…とりあえずあの3人止めてどこか行きましょう」

茜「…そうね」


私たちはバカ3人をなんとか取り押さえた。

止める過程でちさに拳が当たって泣き出してしまったことは言うまでもない。

…もちろん私にも当たった。なぜか平手打ちが。

そして雪音のほほにはどこから来たのか、キスマークがついていた。

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