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6月17日に改稿完了しました。

舞「スーハ―スーハ―」

こ「ぁあ~田舎の空気はおいしいですね。イーヒッヒッヒッヒ」

茜「馬鹿にしてるの?」


家から歩いて15分のところにある森に私たちは入っていた。

そこは秋には床一面にどんぐりが落ちていると有名だ。

…だから来たんだけどね。


こ「逆にちょっと歩いただけで森がある所を田舎と呼ばずしてなんて呼んだらいいのよ」

茜「馬鹿にしないでよね。時々自然保護団体の人が来るんだから」

美「自慢になってないよ」

ち「あ、このどんぐり形きれいですよ」

こ「本当だ」

美「今日の夕飯はどんぐりスープにしよう」

雫「美涼家計ピンチすぎでしょ」

茜「てかどんぐりって食えるの?」

こ「知らん」


なんで高校生がこんなにもどんぐり拾いに夢中になれるんだろう


舞「茜ちゃんはどんぐり拾わないの?」


横には舞香菜がカメラを構えて立っていた。


茜「拾わないよ。舞香菜こそなにしてるの」

舞「私はみんなの写真を撮りに来たの。だから安心して」


ちっとも安心できない。


ち「あっ、向こうに子供がいますよ」

卯「本当ね。こんなに遅い時間なのに」


もうすぐ6時になるというのにこの時間に小学生がいるのは確かに危険だ。

というか私たちが森にいるのにもそぐわない時間の気もするんですが…


雫「って男の子と女の子じゃない」

卯「なんだリア充か」

こ「リア充〇ね」

雪「リア充森≪ここ≫で遭難しろ」

ち「えっと…」


相手は小学生だろ…。なんでそうなるんだか…


舞「…ん?え?女の子!?」


あっ…。この人反応してしまったか。


舞「茜ちゃん!行くわよ!!」

茜「…は?」

舞「早く!帰っちゃう前に!!」


舞香菜は私の腕をつかんで一目散に走りだした。

ほどこうと試みたが思った以上に力が強く、諦めてナンパに付き合うしかなかった。


――――――――


舞「Hey!ぼくぅ」


なんでだろう。なぜ女一筋の舞香菜が男の子に話しかけるんだろう。

そう思っていると舞香菜が突然こちらを振り向いた。


舞「ねえ」

茜「なに」

舞「男の子を呼ぶときって"ぼくぅ"って言うじゃない?」


こいつの口から「男の子」というワードが出てくるとは…

変わったこともあるもんだな。


舞「で、それの女の子バージョンってどう言うの?」

茜「知らないよそんなの」

舞「じゃあどうしたらいいのよ!」

茜「何でキレてるんだよ」

舞「こっちは困ってるのよ!」

茜「こっちの身にもなってくれよ」


確かに考えたこともなかったな。お嬢ちゃん…?でもおかしいよな?じゃあ男の子も坊ちゃんにすれば…。でもこの子から"坊ちゃん"という風格を感じない。


じゃあこういう時は…


舞「ねえ、名前なんて言うの?」


…っておーい!人が考えてるのにー!!


夏「あたし夏妃(なつき)!」

宗「ぼくは宗太(そうた)!」

夏「おねえさんは?」

舞「私?私はま・か・な♡」

夏「おねえさん可愛い名前だね!」

舞「うふふ♡ありがとう。で、こっちは相棒のクリントンよ」

茜「誰だよクリントンって」


なんでこいつは誤解を招くことを…


夏「…おねえさんがいじんさん?」


ほらやっぱり。


宗「いやどう見たって日本人でしょwwおねえさん偽名でしょ?それ。スパイだから?僕たち監視してたの?うちは人質捕れるほどお金ないよ。夏妃ちゃんもスパイには気を付けてね」


このクソガキ…後で覚えてろよ…。


舞「じゃあ夏妃ちゃん。おねえさんと一緒にどんぐり拾おうか!」

夏「うん、いいよ!」


夏妃ちゃんは笑顔で返事をした。

小学生はホント可愛いな~。このクソガキ以外は。


宗「じゃあ、スパイのおねえさんは僕が遊んでやるよ。ほら」


あーほんと可愛くねーなー。


宗「早くしろよ」

茜「いや、帰れよ」

宗「なんでだよ」

茜「空見てみろよ」


少年は空を一瞬だけ見た。親の顔が見てみたい。


宗「はい見た」

茜「どうだ」

宗「暗い」

茜「小学生は」

宗「帰る時間」

茜「ほらな。お前も帰れよ」

宗「やだよ」

茜「は?お前が帰る時間って言ったんだろうが」

宗「ぼく小学生じゃないもん」

茜「嘘つくな。お前みたいなちびすけが小学生じゃないわけないだろ」

宗「ぼく幼稚園児だもーん。ばーか」


流石に頭に来た。


茜「埋めるよ?」

宗「出来るもんならやってみろよ」

茜「おら、やってやろうじゃねえか」


私は少年に近づく。

一歩、また一歩と…


その時突然肩をつかまれた。


雫「まったく大人げないわよ。」

茜「はっ…雫…」

雫「ごめんね~ぼくぅ。このおねえちゃんね、ちょっと煽っただけですぐこうなっちゃうの。」

宗「大丈夫です。慣れてるので。」


慣れてるって…


雪「ホント、子供かよお前。」

茜「どんぐり拾いしてた人たちに言われたくないわよ。」

宗「え~っ!?」


そしてやはりこいつは反応した。


宗「その年で?あっはっはww身体だけ成長しておつむは空ですかwwこの年頃の女は金持ちのおっさんに身体売ってりゃいいんだよ!アーホ!あ、そこのクルクル頭の人は無理そうだけどww」


クルクル頭って卯乃のことか。

こいつは流石に言いすぎだ。私は何か言い返すことにした。


雪「あ?舐めてんのかゴラァ」


雪音は私を横にのけて言い放った。

そしてそれに続き卯乃とこはるが続いた。

私は中途半端に口を開けたまま横に倒れた。


雪「クルクル頭?無理そう?調子乗ってんじゃねーよ」

卯「友人の初被験体になりたいんですか?あなたは」

ち「他人に優しくですよ!」


そこにちさも加わった。流石に高校生5人は大人げなさすぎる。



「うるせぇよ~!うわ~ん!」


流石に少年は逃げ出した。


卯「ふぅ。いい気分転換になった」

茜「言っておくけどあれ幼稚園児だからな」

ち「駄目ですよ。悪い子にはガツンと言ってやらないと」

雪「そうそう。あの子の将来が心配よ」


そりゃそうだけどあれはやりすぎでしょ。

それより今日の事で女子高生がトラウマ化してたらどうするんだよ。


卯「それにしてもさっきのちさは凄かったなぁ」

ち「え?」

卯「まさか「引きずりまわしてどぶ川に突き落とすぞオラァ!」って言うとはね~。驚いたよ」

卯「それ言ったの卯乃先輩じゃないですかぁ~」


慌てたような声でちさは言った。ホント、いい子だなぁ。


舞「あ、おつかれさま」


そう言ったのは夏妃ちゃんとどんぐりを拾っていた舞香菜だ。

舞香菜は雪音の後ろに座り、抱きついた。

最初見たときは驚いたが、今では見慣れた光景だ。


茜「夏妃ちゃんどうしたの?」

舞「あの後家の近くまで送ってあげたわ」

茜「意外だな」

卯「相手の子が女の子だっただけだろ」

舞「そうよ。家までわかるなら一石二鳥だったのに」

卯「ろくな大人にならねぇな」

舞「で、あの男の子は?」

茜「泣いて逃げた」

雪「煽ったから煽り返したんだ」

舞「そう」

卯「あのクソガキひどいのよ!私の事をクルクル頭とか身体売るのは無理とか」

舞「ピンポイントじゃない」

卯「あなたの涙腺も崩壊させてもいいのよ」

舞「遠慮しておこうかしら。涙垂れ流しだと女の子に近づけないから」

雪「男女関係なく逃げ出すだろ」


 ドングリをポケットいっぱいに収穫したこはるが妙案を出す。


こ「ねぇ、折角だしさ、もうちょっと奥まで行ってみない?」

茜「ああ、どうせ明日も休みだし」


こうして私たちは森の奥まで入ることとなった。


――――――――


 満月に照らされた道を渡り、森の奥まで到達した。

奥は広い広場になっていて、中心に立つと、月明かりに照らされ、まるでトップアイドルになってステージに立っている感覚になった。


茜「ここか?奥は」

雫「そうみたいね」

卯「ちょっと寝っ転がろうかな」

ち「いいですね」


私たちは円になって草原のベッドに寝ころんだ。まさに青春って感じだ。

夜風が気持ちいい。ずっとこのままならいいのにな。


雪「ふわあぁぁ。私眠くなっちゃった」

舞「確かに。私も眠いわ」

こ「寝ちゃっても大丈夫じゃね。ここそんなに人来ないでしょ」

美「そういう問題かな…」

こ「細かいことは気にしないで本能のままに生きようよ」

雫「あなたたちは本能むき出しすぎるのよ」


自然と笑いがこみ上げてくる。なぜだろう。ここにいると気持ちが落ち着く。


茜「…駄目だ、もう無理」

雪「うん、そろそろ限界」

こ「起きたら起こしてね~」

舞「覚えてたら起こすわ」

こ「はいは~い」

茜「じゃあ、おやすみ~」



 そして私たちは目を閉じた。軽く今日の事を振り返る。

…午前中ほぼ暇だったのが嘘のように感じる一日だった気がする。

そう思いながら暗闇に沈んでいく。


――起きたころにはとんでもないことになっていたとは知らずに――

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