表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

6月17日に改稿しました。


セリフの前に誰が発言しているのかを明記しました。

若干セリフも変えて(増やして)あります。

 暇だ。暇すぎてやることを見つけるのに忙しい。

この頃日中はこんな感じだ。ゲームは高校に入るときに思い切って捨てたし、家にあるBL誌は目にタコができるほど見た。だからといって新しく小説や同人誌を調達する金もなければ、家事を手伝おうとかいう精神が芽生えることはなかった。

つまり、暇という名の迷宮から脱出する術≪すべ≫がないのだ。


茜姉「茜~、入るよ~」


ああ、姉か。まあ、暇つぶしにはもってこいか。


姉「あ、これ――」

茜「ああ、貸してやるよ。二泊三日で100円な」

姉「ちょっ、なんで金取るんだよ!てかそもそもあたしのじゃん!」

茜「知らないよそんなの。家で拾ったんだよ」

姉「訳の分からないこと言ってないで返しなさい!」

茜「わかったよ。プラス100円で譲ってやるよ」


実際手放す手間が省けたから願ったり叶ったりなんだけどね。


姉「はぁーもーしょうがないわね。ほらよ」


そう言って姉はポケットから金をとりだして私に向って放り投げた。

しかしそれはおもちゃのお金だった。


茜「おい、子供銀行券なんかいらねぇよ」


そもそも硬貨だから券≪・≫と称していいのかは不明だけど。


姉「じゃあ大人銀行券かな?今から作るけど」

茜「日本銀行券に決まってるだろ。バカかお前は」

姉「姉に向かって"バカ"とか"お前"とか"人類の底辺"とかいい度胸してるわね」


そう言って姉は握り拳を作った。

いや、"人類の底辺"とは言ってないんだけどな…


姉「ま、いいわ。こんなボロい家で乱闘したら崩れそうだし、今回は勘弁してやるわ。ほら、お望みの日本銀行券だ。受け取れ」


そう言って姉は100円玉2枚を私の机の上に置き、その対価に見慣れた表紙の小説を持って部屋を後にした。


 そして再び暇という怪物はやって来る。

忙しい時は1日中暇していたいとか思うのに、それがいざ自分の身に降りかかったらどうして抜け出したくなるんだろう。

 世の中って不情すぎ。


――――――――


  昼飯を食べたが、それ以外は何もせずに一日が終わりそうだ。

 時計を見ると午後3時。予定は風呂、飯、寝るしか残ってない。もうお風呂入っちゃおうかな。

 そして私はしぶしぶ立ち上がった。それはまるでゾンビが復活するがのごとくだった。

 しかし、その時だった。


ピンポーン♪


と、インターホンが鳴った。なんだよこんな時に。


茜「はーい。どちらさまですか?」

ち「せんぱーい。遊びに来ましたよー」


後輩か。って、なんでこんな時間なんだよ!遅いよ!!


茜「今開けるね」


そう言ってドアを開けた。



卯「やっぱり出たか」

こ「ちさの声聞けば絶対開けるって本当だったんだな」

舞「てか未だにカメラ付いてないのね…」

雪「持つべきものは後輩だな」


やっぱり…。ちょっとは予想していたけどやはりいつもの顔ぶれがそこにはあった。


茜「…で?何の用?」

こ「暇だから来てやったんだよ。感謝しろよ」

雪「お前のBL誌に落書きしに来た」

卯「庶民研究」

ち「先輩についてきました」

雫「なんとなく」

舞「茜ちゃんとラブチューしたいから来たの」


お前ら帰れよ…


美「店経営したいから相談しに来たんだけど」

茜「お前そんな金ないだろ」


美涼がふくれっ面になる。まあこんなかじゃあ一番まともな用だけど。

まあ話くらい聞いてやるか。


茜「まあいいよ。美涼入れよ。他は悪いけど帰ってくれ。私暇じゃないんだ」


いや本当は死ぬほど暇だけど。ただ、カオス空間に飛び込みたいとか言う願望はない。


美「あっはい。お邪魔します」

こ「茜。後で覚えとけよ」


――――――――


茜「で、店経営って?」

美「私社長になりたいの!」


いや会社経営だろそれ。美涼は私の友人の中ではまともな方かと思ってたが案外そうでもないのかもしれない。


美「カフェがいいんだよね」

茜「カフェか…今じゃ猫がいたり、店員がメイドの格好してるところもあるよな」

美「やっぱりそうだよね!私もそういう系考えてた!!」

茜「そう。で何がいるんだ?物によっては結構儲かるかもしれないな」

美「で、私が考えたのは…」


今の彼女は真剣だ。私は固唾をのんだ。



美「デブカフェ」

茜「やっぱお前も帰れよ」


前言撤回。やっぱりまともなのはちさだけかもしれない。

それでも美涼は話を進める。


美「大丈夫!絶対成功するって!」

茜「無理だろ。どこも金貸してくれないよ」

美「メニューはちゃんこ鍋だしいけるって!」

茜「それカフェじゃないだろ。てかちゃんこ鍋食うのはデブじゃなくて力士だし」

美「えっ…?もしかしてデブじゃダメだった…?」

茜「ああ」

美「……じゃあ細身カフェ…」


このままじゃいけない。何とか止めなくては。そう思い私は美涼の両肩に手を置いた。


茜「わかったわかった。今度本物のカフェに連れていってあげるから。考え直そう。ね?」

美「え、えっと…それは…」

茜「わかった?」

美「あ、えっと…その…」


美涼が額に汗をかいている。迷っているのか。それとも――



こ「おっつかれー!美涼!!」


 !?


美「あ、ああ…はい…。ふぅー…」


え?なんで雫たちがいるの…?鍵はどこもかかっていたはずだし…


こ「いやー驚いたよ。まさかお嬢が本当にピッキング出来るなんてさ」

ち「あ、えっと。先輩ごめんなさい…」

舞「財閥バンザーイ!!」

茜「ふざけてるの?」

雫「はい」

茜「はぁ。昼間来ればクソ暇だったのに」

こ「今だって暇でしょ?」

茜「あなたたちがいなければね」

こ「じゃあいいじゃん」

美「で、カフェは…」

雫「美涼、もういいのよ」

卯「あんたの地位下がるわよ」

美「いや…その…ちょっとカフェ経営に興味出ちゃったなーって」

こ「バカなの?それとも天然なの?」

茜「バカはあんただけで十分よ」

こ「はい~??」

雪「ねえ、なんでこの絵本色ついてないの?」

茜「それはそういうもんなの」

雪「へぇー。でもつまんないから私が塗ってあげる」

舞「雪音ちゃんも塗るの?じゃあ私も参加しようかしら」

茜「やめてね」

舞「も~う茜ちゃんってば冷たいんだから~」


そう言って舞香菜は私に抱き着きほおずりした。

うーん。鬱陶しい。


ち「…なんか凄いことになってますね」

雫「ええ。私こんなところにいたくないんだけど」


いや私帰れって言ったよね?言ったよね??


雪「じゃあどんぐり拾いにでも行こう」

こ「あ、いいわね。行きましょう。あ、茜は強制参加で」


こいつらは勝手に人んち入ってきて何言ってんだ。

てかどんぐり拾いなんかピークは小学2年だろ。行くわけないじゃん。


ち「私、先輩が参加するなら行きます!」

雫「まあ、茜が家開けるなら家にいる訳にいかないわね」

舞「茜ちゃんも行くの?じゃあ私も行かなくちゃ」


なぜこいつらは私が行く前提で話しているんだ。


雫「ほら、茜行くわよ」

美「しょうがない茜さんですね。私が肩を貸してあげますから早く歩いてください」


 まあ後々面倒になっても困るからなあ。仕方なく行くか。


 そして私は風呂に入ろうと立ち上がった時と同じ立ち上がり方で立ち上がり家を出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ