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現実世界に回帰!?

 それからうっそうとした森の中を歩くこと20分くらい。日光が地面を差す広間みたいなところに出た。

これでようやく休憩ができる。

しかも木を一本分挟んだすぐ奥には川が流れていた。

喉が砂漠のように乾ききっていた私たちはその川で水分補給をする。

喉を湿原にした私たちは広間で横たわる。


こ「あ~疲れた」

ち「長いこと歩きましたからね…」


確かにほとんど立ち止まらず歩いたからな。疲れるのもわかる。恥ずかしながら私も疲れている。

なんせ武器が思った以上に重く、体力を奪っていった。

ただ今日からは魔物と対峙しなければならない。こんなところでへばっている場合ではないんじゃないか。

疲れと使命とが葛藤する。

この生活が早く慣れてくれるよう、いや、早く元の世界に帰る方法が見つかってほしいと願う。


美「あぁ~気持ちぃ~」

雫「ふぅ~」

雪「いてっ」


皆がぐだっている中、雪音が一人痛みを露にした。


卯「ん?どうした」

雪「ドングリの殻が手に刺さった」

こ「お前ここ来てなんでまたドングリなんか食ってるんだ」

雪「誰が食うか!落ちてたんだよ!そこに!」


今度は怒りの声を発した。

ドングリか。昨日のことだけど懐かしい。

私だけ食べてないけど。渋かったらしいから命拾いしたわけだけど。


ち「…あっ!」


突然ちさが大声を上げる。


美「ん?どうしたの?なんかいた?」

ち「ドングリ…。私たち昨日ドングリを持って異世界ここに転移しましたよね?」

こ「そうだけど…。それがどうしたんだ」

ち「私たちが転移してきたのはまさに"ここ"なんですよ!ならばここにドングリが落ちている理由が説明つきます」


確かに私たちは森から森に転移してきた。

暗かったからよく覚えてないけど、広間だってあるし、ここから歩いたのと同じくらい昨日も歩いた気がする。

きっとここで間違いない。


卯「…ということはここでまた寝れば戻れる可能性があるってこと!?」

ち「そういうことになりますね。確証はありませんがやる価値はあると思います」

こ「よし!じゃあ寝よう。はい、ありがとうございましたー」


何にお礼を言っているのかは不明だが、それを聞く前にこはるは寝てしまった。

元の世界に戻れるのなら私も戻りたい。

この町の人たちには悪いけど、私たちにだって自分たちの世界での生活がある。

親だってきっと私たちの帰りを待ってるはずだ。

ならば私たちは私たちの世界で生きなければ。


私は目を瞑って元の世界に戻るのを待った。



――――――――――



 目を覚ますとあの森の中にいた。

地面には無数のドングリが落ちている。車の走る音が聞こえ、走って体を鍛えるおじいちゃんの姿も見えた。

そうか。戻ってこれたんだ。私たち。


私は起き上がり、森を抜けた。


森の外には見慣れた景色が広がっていた。

それだけでもう安心してしまう。

誰かの声をかけられたような気もしたが、それを無視して私は急いで自分の家へ向かう。


アパート街を抜け、川にかかった橋を渡り、住宅地を走った。

その住宅地の中にちゃんと私の家があった。

少し錆びかかった門を開け、家のドアを開けようとしたが、ポケットに鍵がなかったのでインターホンを鳴らした。


ドアはすぐに開き、中からは姉が出てきた。

心配した。そう言って私を強く抱きしめた。

少し痛かった。だけどうれしかった。


姉のぬくもりを感じた後は自分の部屋に行った。

一日ぶりだがどこか新鮮だった。

部屋からの見慣れた景色も、オレンジ系で揃えた家具の配置も何一つ変わっていなかった。

当たり前のことだが感動的だ。


ベッドに寝っ転がって漫画を読んでいると、母親が帰ってきた。

買い物帰りらしく、両手には買ったものでパンパンになったビニール袋を持っていた。

母は私を見るなりそのビニール袋を手放し、私の方へ歩いてきた。


私の元へ来たかと思うと思いっきり私の頬をひっぱたいた。

どこ行ってたの。そう問いながら何度もひっぱたいた。

少し離れた森の方へ。答えようとしたがそれは止むことはなかった。


――痛いよ。


――お願いだからやめてよ。



茜「お母さん!」

雪「お母さんじゃねぇよ!いつまで寝てんだよ!お前は!」


…え?

母親の姿はたちまち雪音に変わった。

そしてその雪音はなぜか怒っていた。


茜「だって私たち元の世界に戻ったんじゃ…」

雪「戻ってるどころじゃねぇよ!ちさが魔物に襲われてるんだよ!」

茜「えっ!?」


雪音から視線を逸らす。

そこにはゼリー状の物体に取り込まれたちさの姿があった。

そのちさの腕を引っ張るこはると卯乃の姿もあった。


茜「助けないと…!」


私もちさ救助作戦に参戦する。

そこに雪音も参戦し、何とかちさを引きずり出すことができた。

ゼリーから引きずり出されたちさは口から魔物のものと思わしきゼリー状の物体を吐き出す。


こ「この野郎…よくも私たちの可愛い後輩をいじめやがったな…」

卯「もう許さねぇからな…」

美「せっ、先輩の力!みせてやる…!」


完全に殺る気満々のこはると卯乃と、へっぴり腰の美涼の三人がゼリーに襲い掛かった。

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