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意外な選択

ギ「遅かったじゃないか」


まるで1時間前からそこで待っていたかのような態度でおっさんは私たちを迎えた。


こ「あのさぁ…なんでさっき食堂で会った時なんで私たちに一声掛けなかったのさ。というかなんでロビーに来いって言ってたのに食堂にいたんだよ!無駄に時間つぶしたんだぞ!」

美「こはる、ちょっとその言い方は…」

こ「こんな自分勝手な奴に一方的にとやかく言われてちゃたまったもんじゃないだろ」

美「でも…」


態度のでかいこはるに美涼が止めに入ろうとする。

しかし、こはるは美涼の言葉に反抗するばかりでなかなか言うことを聞かない。


ち「あ、あの…なんかすいません…」

ギ「はぁ…。まあいい。おい成増(なります)!武器を持って来い」

成「承知しました!」


騎士の一人は駆け足で武器庫へ武器を取りに行った。


こ「あーっ!おい!なに私の話を無視してるんだ!!!」

美「ちょっと!いい加減にして!」


こはるはまだ怒っていた。

正直私の中では昨日から先ほどまでの一連の出来事はもうどうでもいいんだけど、こはるの中ではまだ納得がいってないのかもしれない。

普段滅多に声を上げることのない美涼も眉間にしわを寄せている。


成「長!持ってきました!」

ギ「おう、ご苦労」


成増は重そうに武器を持ってきた。

が、おっさんは一切手伝おうとせず、ただそれを見ているのみだった。

この世界は師弟関係がはっきりしているのかもしれない。

とはいえ少しくらい手伝おうとしてもいいんじゃないかと思った。


ギ「ささ、好きなのを選んでくれ」


私たちは呈示されたされた武器に目線を合わせた。


まずは剣である。

今までを見る限り、この世界は工業の発展が著しく悪かったので、鉄の塊を纏めて固めたみたいのが出てくると思ったが、予想に反して意外にも立派なものだった。

とはいえいかにも鉄で作りましたって感じの殺風景な見た目だ。だが、逆に言えばどんな服装にでも合いそうだ。

ご丁寧に(さや)まで用意されている。


続いては杖だ。

木製だが、持ち手には謎の宝石がはめられている。というか埋まっている。壊さない限り、どう頑張っても取れそうにない。

魔法でも撃てるんだろうか。ただこの中には魔術を使える人間なんていない。それに頭の弱い私には呪文を覚えるだけの能力はない。

これは論外だ。


続いては…ってあれ?これだけ?


ギ「お気に召すものはありましたかね?」


お気に召すったって…二種類しかないんじゃねぇ…

だが、そんなことを言ってもこの選択肢から選ぶしかなかった。


私は剣を手に取った。こう見えても私は剣道部だ。なので多少剣の扱いには慣れている。

しかし剣道で使う竹刀とは比べ物にならないほど重い。使いこなすには少し時間がかかりそうだ。


ちなみに雪音、こはる、雫が剣。ちさ、卯乃、美涼、舞香菜が杖を手にした。

それぞれ6、7本くらいずつあったが、見事なまでに二極化した。

私は剣を鞘に入れ、腰に装着した。


ギ「そうそう、これも渡しておかなくちゃな」


そう言っておっさんは私に鞄を渡した。


茜「これは…?」

ギ「必要最低限の道具だ。あと金も入れてある。ま、支給品だな」


鞄を開けてみると中には救急箱みたいなもの、非常食っぽいもの、そして硬貨らしきものが入った小さな麻の袋が入っていた。

本当に必要最低限といった感じだ。どれもそのうちお世話になりそうなものばかりだ。

そして同じものが人数分配給された。


ギ「困ったことがあったらいつでも戻ってくるんだぞ。それじゃ」

茜「お世話になりました」


私たちは一晩お世話になった城を後にし、冒険に出るのであった。



――――――――



茜「ねえ、雫剣士ソードウーマン向いてないでしょ」

雫「何言ってるのよ。まだ冒険は始まったばかりなのよ。そんなの分からないじゃない」

茜「だってここに来るまでだけでめっちゃ汗かいてるじゃん。なんでめっちゃ運動神経悪い雫が剣士なんだよ」

雫「いや…最後に残ってたのがこれだったから…」

茜「真っ先に取ってたじゃん。というか予備あったでしょ」

雫「あ、あはは…」

茜「全く…交換してきたらどうだ?」

雫「いや、大丈夫。なんとかなるから」

茜「…無理はするなよ」


実際雫にはホントにホントに剣士に向いていない。

あまり重いものを持てない上に不器用だからだ。

体育の授業での剣道でも私に剣先すら当てられず、私の圧勝だったし。

というか他の子とも全然だめだったらしいし。

…なんでわざわざ不得意な剣士を選んだのだろうか。

高校入学試験首席の雫なら絶対魔法使いの方が向いてるのに。


 私たちは少し歩いては軒下で休憩し、また少し歩いては休憩してを繰り返しながら町の出口を探していた。

雫が自分に見合わない武器を手にしたことも原因の一つだが、雫を除く私たちもやはり多少なりとも疲れを感じていた。

そんな事由があったが、私たちは遂に町の出口を見つけた。

そこは草木がうっとうしいほどに生い茂っている薄暗い森だった。

文字通りあまり近寄りたくない場所だが、今日はまずこの世界を知ることから始めよう。といった小学生の学校探検みたいなノリの散策なので、多少怪しくても入ってみようと思った。



――――――――



 森の中は明かりは必要無いまでも、やはり暗かった。

ただそれだけに静かで、葉の落ちる音や虫の鳴き声、小動物の足音など、普段イヤホンで流行りの曲を聴きながら過ごしている私たちには無縁な音が脳に直接届いてくる。


こ「ん?あの木の実って食えるのか?」


こはるが少し低めの木を指さして言った。

木には握りこぶしの半分くらいの大きさで、絵の具から直接出したような鮮やかな赤色をした木の実がいくつか実っていた。

おいしそうな見た目をしているが、この世界には元の世界にはいない、豚とピラニアを融合させたような生物がいるらしいから、口にするのは調べてからの方がいいだろう。


こ「うーん、一応採ってくか。この袋に入れとくか」


そう言ってこはるは硬貨の入った麻袋を取り出した。

勿論だが、その硬貨の存在に気がついた。


こ「ん?なんだこれ。金か?まあいいや。美涼のと一緒にしといてくれ」


こはるが木の実を入れた袋を鞄に戻すと私たちは再び歩き出した。

武器手渡すところだけだと文章短すぎたので、文章増やしたのですが、その結果題名がすんごくつけづらくなりました。

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