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安倍晴明と安東総理のやり直し転生譚  作者: 坂崎文明
第三章 飛鳥戦国時代編

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赤い流星、真田幸村

(心之助、あやつはベアトリスの使い魔のひとりじゃ。どうやら本体ではないらしい)

 

(え? 魔女ベアトリスじゃないの?)


 心之助は開いた口がふさがらない。

 金髪碧眼、純白の服を着た聖女は魔女ベアトリスじゃないらしい。 

 全てを見通す魔人眼をもつ信長でも見誤ることはあるのだ。

 

(理由は分からないが、やつの本体はこの地球上にはいないようだ)


(本体って、どれぐらいの力なの?)


(おそらく、この数千、数万倍ぐらいかの)


(即死レベルじゃん)


 心之助の手にいつのまにか汗がにじむ。


 <黒騎士>は復活し、戦闘態勢は整っている。

 ふいにその姿が消えたかと思えば、心之助の眼前に現れて、ソードを打ち込んでくる。

 とっさに回避するが、後手に回ってしまう。


(空間転移か? ベアトリスの使い魔の力か?)


 心之助は必死で聖刀<流星剣>を振るう。

 基本のヒットアンドアウェイ攻撃でリズムを回復しようとする。

 だが、<黒騎士>の奇妙な空間転移攻撃に翻弄され、防戦一方に追い詰められていった。


 <黒騎士>の全高百メートルを超える巨躯がことさら巨大に見えはじめていた。

 <ニンジャハインド ブラックソード>の動きはそんなに悪くなかった。

 心理的効果にすぎないと分かっていても、次第に押されていく戦況を覆すことができない。

 ボトムストライカーの天才と称された心之助の心に焦りとも絶望ともつかないものが広がっていく。

 隊長の士気の低下、不調は隊全体に波及していく。

 激戦の中、心之助の部隊も動きが鈍ってきていて、苦戦を強いられる隊も増えていった。


 その時、赤い流星が天から降ってきた。

 衝撃波で大地が震え、砂塵が巻き上がる。

 それが晴れた時、派手な真紅の機体が現れた。


 <ニンジャハインド クリムゾンソード>


 心之助と同型機であるはずだが、大幅にカスタマイズされていて、その姿は百戦錬磨の鎧武者のようにみえた。


「こちらはなかなか面白い敵がいるようだな」


 真田幸村である。

 赤い聖刀<真田丸>を大地に突き刺し、その存在感は周囲を圧倒した。

 <黒騎士>の動きさえ止まっている。

 凄まじい気のような物を<黒騎士>でさえ感じているのだろう。


「俺が来たからもう大丈夫だ」

 

 何も戦況は変わってないというのに、幸村の言葉が真実だと全ての兵が信じている。

 これが本当の武士(もののふ)というものなのかと心之助は思った。


「聖刀聖陣<真田丸>!」


 幸村の機体<ニンジャハインド クリムゾンソード>の周囲で地面が隆起し、同心円状に土色の防御陣が張り巡らされ、その上にあっという間に砦が構築されていった。

 聖刀<真田丸>の固有聖陣であった。

 幸村の<ニンジャハインド クリムゾンソード>は砦の上に君臨して下界を見下ろした。


「聖銃<種子島>!」


 さらに背中から聖銃を取り出し構える。

 突然、凄まじい衝撃波と共に敵の機動兵器が数機同時に吹っ飛んだ。 

 そのまま連射する。

 敵の陣形が総崩れになり、<黒騎士>の機体にも命中して、その巨体でさえ耐え切れなくなって膝をついた。


 幸村は手を休めずに、さらに連射する。

 <ニンジャハインド クリムゾンソード>のエネルギーをそのまま放っているのか、弾込め不要な不思議な聖銃である。

 幸村の攻撃だけで中央の戦況が好転していく。 

 聖刀<真田丸>の聖陣も堅守を誇っていてびくともしない。

 攻防一体のチートすぎる機体である。


(さすが真田幸村だが、右翼はいいのか?)


 その奮闘に信長が言葉をかける。 


大谷吉継(おおたに よしつぐ)殿、明石全登(あかし たけのり)殿、島左近(しまさこん)殿、石田三成の四武将が敵を圧倒しています。俺の出る幕がないので、こちらに出張ってきた次第です)


 信長の前でも不敵な笑みをみせる。


(助かる。心之助たち若い兵に本物の武士(もののふ)の戦いを見せてやれ)


 幸村は信長の言葉に静かにうなづく。


「おのれ、こわっぱめ!」

 

 金髪碧眼の聖女が下品な言葉を吐く。

 黒い槍を<真田丸>に向かって放った。

 だが、見えない防御壁のようなものが槍を跳ね返す。


「<真田丸>の聖陣はそんな槍ではびくともしないぞ」


 幸村は余裕の声音で返す。


「真田の小倅(こせがれ)め、親子代々邪魔なやつめ」


「親父殿を知っているのか?」 


「ふん、何度もハニートラップのくの一を放ったが、全員、取り込まれてしまったわ。食えない古狸じゃ」


「親父殿らしい」 

 

 幸村も思わず笑ってしまう。

 幸村の父、真田昌幸(さなだ まさゆき)は甲斐国の武田信玄に仕え、武田氏滅亡後に信長、秀吉にも仕えた。

 度々、自立して天下を狙い、表裏比興(ひょうりひきょう)の者と評されている。

 比興は卑怯に通じるが、老獪、食わせ物の武将であり褒め言葉であった。

 昌幸を「比興の者」と評したのは三成だが、昌幸の正室と三成の正室は姉妹であり親戚でもある。


「それはともかく、そろそろ決着をつけようか」


 幸村の言葉はいつも大胆不敵である。


「生意気なやつめ」


 金髪碧眼の聖女の双眸(そうぼう)は復讐の炎で燃えていた。 

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