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安倍晴明と安東総理のやり直し転生譚  作者: 坂崎文明
第二章 安土桃山時代編

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秘剣<影流>

 伊賀、甲賀、柳生などの忍者の里で育った武術の流れを汲むのが秘剣<影流>であった。

 <影流>は柳生新陰流の源流と呼ばれていて、<陰流>に名を変えて時に上泉信綱に伝えられて、<新陰流>となった。


 倭寇の刀術だとも言われていて、開祖は日向の愛洲久忠〔愛洲移香斎〕は明の時代の成化二十年(文明十六年頃)に北京紫禁城に赴き、皇帝の直属軍・御林軍〔近衛兵〕に「影流」を指導していたという記録もある。


 倭寇と戦った明の将軍、戚継光(せきけいこう)も倭人から影流を学び、「影流之目録」〔猿飛(えんぴ)の巻〕を兵書『紀効新書(きこうしんしょ)』〔1584年〕に記述しているという。 


 倭寇の大太刀を模して造られた苗刀(みょうとう)〔ミァオタオ、miáo dāo〕も明で造られている。それを元にした中国武術もあるという。

 それだけ、倭寇の刀術、体捌きが優れていて研究されたということである。




 抜刀術の構えから天海の黒い闇色の<膝切>が煌めき、マリアの白銀の<十字剣>がそれを巧みにさばく展開が続く。


 技量においては全くの互角であるが、天海の頬に汗が伝っていた。

 が、マリアの方は余裕をもって捌いている。

 少し天海の方が分が悪いと感じはじめていた。


 (らち)があかないとみた天海は後ろに跳びすさって距離をとる。

 マリアも同様に間を取った。


「そろそろ、決着をつけましょうか?」


 マリアの圧倒的な気が空間に満ちていく。 


「よかろう」


 天海もうなずく。


「次元流剣術奥義、<次元鬼神斬>!」


 マリアは不可思議な呪文を唱えつつ、白銀の<十字剣>を弧を描くようにゆっくりと振り下ろした。

 白銀の閃光が天海に襲いかかる。

 天海も漆黒の<膝切>をゆっくりと振り下ろす。


「影流奥義、<三日月剣>!」


 と叫ぶと、<膝切>から無数の闇色の三日月形の光がマリアに向けて放たれた。闇の輪郭が淡く光を放っている。

 それがマリア放った白銀の閃光を押し返して侵食して空間を闇色に染めていく。

 今のところ、一進一退を繰り返して互角の勝負になっているようだ。


(晴明さま、あれは一体?)


 安東要が心話で晴明に問いかける。


(例えれば、光とブラックホールの戦いみたいなものじゃな)


 いいかげんな答えを返してくる。


(縁起悪い話ですが、もしも、天海さまが敗れたらどうなるんでしょうね?)


(ビックバンとか起こるんじゃね?)


 メガネが面白がって茶々を入れてくる。


(その通りじゃ)


 晴明は真面目に答えた。


(そうなんだ) 


 妙に納得する安東要であった。


(正確に言えば、空間そのものを切り裂く剣というところか) 


 通信スクリーンに映った信長の瞳が怪しく光る。

 <魔神眼>発動中らしい。

 おそらく、信長の恐るべき目にはマリアの放つ閃光がはっきりと捉えられてるに違いない。


(これはまずいのう)


 信長の<魔神眼>が何かを捉えたようだ。

 信長の式鬼<金鋼(コガネ) (ゼロ)>が上空を見上げる。


 その視線の先には雲の隙間から双翼をもつブーメラン型の漆黒の巨大飛行物体が現れた。

 突如、巨大飛行物体から光が放たれ、<ベアトリスナイト>たちが浮遊してそこに飲み込まれていった。


(まさか、あれはUFOなの?)


 神沢優がいい線ついてきた。


(いや、あれは<ブラックナイト>です)


 メガネの双眸がきらりと光ってずばりと真相を見抜いた。


(そうじゃ、一万三千年前から地球の衛星軌道上にいると言われている謎の国籍不明の飛行物体じゃ。黒騎士の衛星ブラック・ナイト・サテライトとも呼ばれている。NASAの調査によれば、機体から発信されていた電波は一説によると一万三千年前の地球から見た星図を表しているとされ、うしかい座イプシロン星を向いていたというのじゃ。あれがベアトリスナイト、魔女ベアトリスと関係していたとすると、やつらは異星人ということになる)


 晴明が自分でも驚きつつ謎解きしてくれた。


(信長殿、残念ながらタイムリミットのようだ。この<ブラックナイト>の前に(ひざまづ)いてもらおうか!)


 上空からリカルド・バウアーの思念波(テレパシー)が信長たち一同の脳の中に響いた。

 次の刹那、<ブラックナイト>から神の光のようなものが放たれてメガネ達の機体を包んだ。


 ボトムストライカー隊が一斉に膝を折った。

 機体がどうしようもなく重く、身動きができるものはいなかった。

 凄まじい重力波がメガネ達を襲っていた。


 信長の式鬼<金鋼(コガネ) (ゼロ)>のみが何とか踏み留まって立てていた。

 絶体絶命の危機にメガネ達はなす術を失っていた。




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