ルール。
やばいやばいやばいやばいやばい!
急遽、部活廃部ってどういうことだよ!
俺は生温い学校の廊下を猛ダッシュしていた。周りには誰もいない。
「っだぁぁああああああっ!!!」
目的の教室を目の前にしたと同時に俺は声を張り上げた。そのまま俺はブレーキをかけずに“2-A”と書かれている教室へと入った。そこには、やっぱりあの2人がいた。
「……京吾?」
「京ちゃん、どったの?」
俺のコトを「京吾」と呼んだのは、倉本明。性別は女であるが、男っぽい性格。そして、「京ちゃん」と呼んだのは、藤田美央。こっちは、名前からして女である。
「あの、さ…やばいんだよっ!」
俺は荒い呼吸をしながらそう言った。
「何がだよ?」
少しだけ不安そうにする明に俺は心の中で深く謝った。そして、俺は呼吸を整えて言った。
「いいか。驚くなよ…?」
「なんだよ!早く言えって!」
「あぁ、分かったよ。えーっと…部活、急遽廃止。だってさ」
こんな事を言われて相当、理解に困っているのか明の表情は固まって動かない。俺だって、さっきまで理解できていなかったんだからしょうがないと思う。でも、美央はすぐに驚きを声に出した。
「ちょっと待ってよ…えっ?待って待って、どういうこと?」
「だから、部活が廃止。部活が無くなったんだって」
俺は、武田先生に呼び出しされた時の会話を振り返って2人に話した。
武田先生は、俺にこう話したんだ。
「貴方たち、5人で軽音部をしているけど、3年生が大学を希望してるのは知ってた?」
「いいえ、知りませんでした。」
「まぁ…そうよね。つい一週間前ぐらいに私も聞いたから。それで、言いたいのはその3年生2人が夏休みから、受験勉強っていうことで部活を退部、になるのよ。そうなると、貴方たちには一年生もいない訳で2年生3人での活動になってしまうから…廃止、という形になりました。」
先生の話を聞いて俺は唖然とした。……ありえない。廃止だなんて。そんな言葉が頭の中を掛け回る。プラス、背中には変な汗がつうっと流れた。
「校長先生にも言ってみたんだけど、ルールだって言われてしまって」
「ルールってなんスか!3人でも十分に部活できますよ!」
俺は必死になった。
「…ごめんなさいね。」
俺が必死になればなるほど、先生は冷めたようにまた「ごめんなさい、諦めて」と言うだけだった。