Vs.ゴーレム
代り映えのない二階層を進み三階層を探索する。
「そろそろ目的地の鉱脈の密集地だな。」
これまでそこそこ遭遇していた魔物が鳴りを潜め自らの歩く音だけが響く。
鉱脈の密集地は広い坑道から横に外れた道にある。
元々は、隠された道だったようだ。
「ここは天井が低いな。それに曲がりくねって先が見えないな、一本道みたいでよかった。」
曲がりくねった道を進んでいくと謎の圧迫感を感じ始める。
道の先に光が見える。
目的地に着いたようだ。
「なんだこの圧迫感っていうか威圧感は...なんかちょっと動きづらいな。
ん?明かりか、やっと終点ってことか。」
明かりのもとに出てみると件のゴーレムと思しきものがいた。
「おいおい...こりゃあゴーレムってより...。」
周りの光が反射するほどに磨かれた金属が使用された体は球体に手足をはやしたようになっており、
球体の中心には真紅の球体が埋め込まれており怪しい光を放っている。
腕と足は大小の金属球が寄り集まって巨大なものを形成し少しづつ形を変えて蠢いている。
それは機械的な運動のようでありながら有機的な無秩序さを感じさせる動きだった。
「ロボットじゃねぇか!」
-ピピピッ
入ってきた物体に反応したのか電子音を鳴らしながらて手足をこちらに向けて構成している金属球を放ってくる。
「うおっ!いきなりか!こなくそエンジン全開だぁ!」
火の肉体を全力で発動し迫りくる金属球に拳を合わせる。
しかし、鈍い音を立てながら拉げることも歪むこともなく横に弾かれるだけに留まる。
「うごあっ...なんつー硬さだ!」
無数の球体を避ける弾くを繰り返し何とか切り抜ける。
「どう考えてもルーキーに頼む奴じゃないだろ。」
その瞬間、嫌な気配を感じ咄嗟にその場から飛び退く。
すると飛んできた球体が高速でさっきまで居た所を通り抜けゴーレムに戻っていく。
「危ねぇ~、磁力を操る...確かに目的のゴーレムっぽいが、思ってたより厄介そうだ。」
-ピピッ
真紅の球体を光らせながら、行動を止めるゴーレム。
「お?ターン制か?なら今度はこっちから行かせてもらうぜ!」
地面を強く蹴り、一瞬でゴーレムに肉薄しそのままの勢いで拳をぶちかます。
鈍く鐘を鳴らすような轟音が響きゴーレムが宙に浮く。
「かっっっっってぇ!!!!!」
-ピピピピピピピピピピピ
けたたましい警告音を掻き鳴らし四肢の球体を周囲に展開して防御態勢らしき状態に移行する。
「一発殴っただけで防御態勢かよ。めんどくせぇな。しかも、凹んですらいなそうだ。」
半数の球体を残してまた球体を射出してくる。
「だからターン制かよ!ここはゲームの中じゃねぇぞ!」
球体を避けながら近づいていき懐に潜ろうとするが胴体の周囲に浮かぶ球体が妨害するように襲い掛かってくる。
「ぬわっ、くそったれ!こんなもんこうじゃ!」
飛来する球体をつかみほかの球体にぶつける。
接触した球体は両方とも大きくへこむ。
「こりゃあいい!硬いやつには同じ素材でぶちかましゃあいい訳か。」
しかし、持っていた球体が急激に引き寄せられる。
「力勝負か?いいじゃね...危ねぇ!」
耐えるように足を踏ん張ると四方八方から球体の嵐が起こる。
持っていた球体を諦め、距離をとる。
「くそ...また仕切り直しか。たまんねぇぜ。」
ゴーレムは真紅の球体を光らせ、周囲に球体を浮かばせながら佇んでいる。
前回忙しくて投稿ができなかったので投稿頻度を縮小して毎週土曜投稿に変えたいと思います。