バルクの街
区切り方が乱暴だったかも
「それじゃ、私達は物資の補充に行くから案内はアレックスがお願いね。」
「ああ、任せてくれたまえよ。」
アレックス以外の面々とは宿の前で別れ早速街の案内をしてもらう。
「この街は東に鉱山を背に円状に広がる街なんだ。街は四つに分かれていて東は生産区画、西は住居区画、
北は商業区画、南はギルド区画と呼ばれているんだ。僕らがいるのはギルド区画だね。」
街の説明を聞きつつ進んでいく。
「ここが生産区画になるね。ここでは武具だけじゃなく魔道具や魔導書の制作販売をしているよ。
素材を持っていけば加工なんかもしてもらえるよ。そういえばタダシは防具を付けていないよね。少し見ていくかい?」
金属のたたく音が響き渡る中を進みながら話す。
「だがとんでもない耐火性能がないと使いもんになんねぇぞ。火の肉体があるからよ。」
「確かにそうか。ま、今後のために一度見てみたほうが良いんじゃない?その服も一張羅だよね?」
「そうだなぁ。てか、どこかいいとこあるか?」
「もちろん、エイグリムの防具鍛冶屋ってところがあるんだ。そこは防具の専門の鍛冶屋でね。言い助言ももらえるかもしれないしね。」
大通りを抜けて少し路地に入ったところにその店はあった。
頑丈に作られているのであろう鉄製のドアを開けて中に入ると熱気がせめよってくる。
「エイグリムさん、いらっしゃいますか?」
「あん?誰かと思えばアレックスの野郎じゃねぇか。どうした防具の修理かい?」
アレックスの声掛けに店の奥から出てきたのは、背も高ければ肩幅もでかい色々とでかい美人さんだった。
「でっか...。」
「アッハッハッハ!巨人族を見るのは初めてかい?まぁあたしは混血だから迫力は足りないだろうけどねぇ。」
「あいや、すまん。つい口から出ちまった。俺はタダシ、よろしく頼む。」
「いやそんなこと気にしないでいいよ。あたしはエイグリム。ここで防具鍛冶をやってる女だよ。」
そうして出された手を握ると急に手に力を入れられ、握手勝負になる。
「おいおい、止めたほうが良いぜ。筋力は自信があるんだ。こっちの方がてがちっちぇから変な風に怪我するぜ。」
「へぇ、言うだけあるみたいだね。確かにこれは強い。アハハ!握力勝負で負けるなんざ久しぶりだ!ましてや普人族に負けるのなんて初めてだよ。やるねぇあんた。」
「いやー流石タダシだ。エイグリムさんに勝ってしまうなんて...おわっ。」
エイグリムは話すアレックスの頭に手を置いて話を中断させる。
「こんな挨拶のことはいいんだよ。このいい男はあたしんとこで防具を作るんじゃないのかい?」
「そのことなんだが、俺は火の肉体って特性を持っててよ。生半可な耐火性能じゃ消し炭になっちまうんだよ。だから、そんな防具があるかついでにあわよくばそんな素材を知らねぇか聞きに来たんだよ。」
エイグリムは自身の大きさに合ったハンマーを弄びつつ答える。
「ふーん、まぁどこまでの熱なのかはわからないけど耐火性能だけを求めるならファイアスライムだけどあいつは防御能力は皆無だからねぇ。両方求めるなら火山亀とかが良いかねぇ。
火耐性に特化しつつ万能性が欲しいならもちろん最高は赤竜が最高だね。」
「色々出るものだね。」
「そいつらの素材があれば最高の防具を作ってくれるってことか?」
その言葉を聞いたエイグリムは唖然とした表情で止まる。
「アハハハハハハ!いいねぇ気持ちいい啖呵を切る男は大好きだよ!本当に全部の素材を持ってこれたのならさいっこうの防具を作ってあげるよ。」
「よしじゃあ、これからの目標も一個決まったしお暇させてもらうぜ。」
「あれ?もう帰っちまうのかい?さみしいねぇ。」
「僕達は少しこの街を回っているんだよ。じゃあまた寄るね。」
そして、エイグリムの防具鍛冶屋出て向かったのは商業区画。
「ここが商業区画だね。ここでは日用雑貨から他国の珍品まで売っているよ。」
「活気があっていいところだな。」
商業区画は、多くの人が行き交いにぎわっている。
「ここらのバザーは結構掘り出し物が多くて僕も目利きを鍛えるためにたまに回ったりしているんだ。」
「ほぉ、良いじゃないか。」
そうやって話ながら、街を回っているうちに日が傾きだした。
「そろそろ宿に戻ろうか。」
「そうだな。」
続きは来週