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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お題:ゴリラ

作者: 寺池良春

 何でだよ!


 俺は心の中で叫びながら身を隠せる場所が無いか辺りを見渡した。

 だが、そんな俺の希望とは打って変わって周りには何も無く、そんな俺の視界の端には後ろから迫る者の姿が映し出される。

 それは艶があり黄色の光沢を持つ分厚い外皮に覆われた四足歩行の獰猛なモンスター。そいつは、討伐しその身を食料とすればとても栄養のあるモンスターであるが、一方でその討伐で命を落とす者も少なくない。そのモンスターの名はバナナ。

 そのバナナが生息地では無いこの草原に現れ、偶然通りかかった俺に襲いかかってきたのだ。


 必死に逃げる俺だが、バナナは全く逃がす様子は無く、迫ってきてはその立派な体躯を振りかざし俺を突き上げようとしてくる。

 ジグザグに走りその攻撃を間一髪避ける俺。


 だが、そんな俺の走っていた足が急に滑ってしまった。

 何が起きたのか分からず転んだ俺。

 そんな俺の上に影が迫り―――、


 俺は間一髪。横に転がった俺の横にはバナナの巨大な体躯が地面を叩き衝撃が伝わってくる。

 その大振りな様子的に再度行動するために体勢を立て直すだろう。そう考え、その隙を逃さないように立ち上がる。が、上手く立てない。立とうとしても足が滑る感覚がある。


何が起きた?


そう思って足を見れば、俺の足にはバナナの外皮と同じ色の物がくっついているのを見つける。

 それはまるで俺の足を覆うように着いていて、それが滑る原因になっている様で立ち上がろうにも滑って上手く立ち上がれない。

 なんなんだよこりゃ!

 俺はそれを取ろうとしたが、それは掴もうにも滑り剥がす事が出来ない。


 焦る俺。そんな俺を再度影が覆った。


 バナナの攻撃の第二波がくる……!


そう思った俺だが焦りから頭が真っ白になってしまい、前足を上げ俺に全体重をかけようとしてくるバナナの姿を見ているしか無かった。

そしてバナナの巨大な体躯が俺へと迫る。


―――終わった。


「―――諦めるな」

「え?」


諦めてただ眺めてしまっていた俺の耳にそんな声が聞こえ、気がつけば、俺はバナナを受け止めていた。

なにが起きた……?

そう思った俺は自分の腕を見て驚いた。

腕は漆黒の毛に覆われ、その下に発達した筋肉を感じる。

俺はその力のままに腕を振るうと、バナナを横倒しにすることが出来た。

なんだこの力は。

だが、今、この力を使えばこのバナナを倒せる気がする!


―――行くぞ! バナナ!


俺は叫び拳をバナナへとたたき込む。

その力は粗末な武器では傷一つ付かないバナナの外皮ごと、バナナに痕を残す程の威力。

これならいける!


そう確信した俺はバナナを叩きに叩き、そして―――


難敵であるバナナを倒すことに成功した。

その後、俺は通りかかった旅人と出会い。今、ここにいる。


そう。動物園という名の場所の、【チンパンジー】と名の付けられた看板のある場所に。

俺は、ゴリラじゃ無かったーーー。

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