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無題
今まではファンタジー系が主だったので、かなり趣向が違うものになってます。
それでも作者自身は「おもろいの書けた!(製作当時)」と思って作ったので……
まあ……温かい目で見てくれると嬉しいですm(__)m
「飴いる?」
そう言ってその人は、飴をくれた。
その言葉にどれだけ救われたか。
その些細な優しさがどれだけ生きる活力を与えてくれたか、
きっと、その人は知らないだろう。
灰色の空。
天気予報など見ていなかったので、傘は持ってきていない。
びしょ濡れの服で蹲っていたところに話しかけてくれたその人に……そう。
どうしようもなく、恋をしたのだ。
一目惚れだった。
鉛のような曇天に差した、温かな太陽。
その笑顔に、どうしようもなく恋をしたのだ。
この人になら、全てを捧げてしまってもいいと思うほどに。
胸に稲妻が駆け、頬に熱が滲んだ。
だから、手を伸ばした。
夢か泡のような、儚く脆い幸せに――――――