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10. 九月末


 九月末。いつもと同じようにウォーミングアップから守備練習を終えると、岡野はブルペンへ直行した。ブルペンと言ってもプロが使うような立派な代物ではなく、部室脇の僅かなスペースに土を盛って設えた簡素な仕上がりだが。

 『来月に行われる北信越大会へ向けて投げ込みが必要』と新藤から伝えられ、さらなるレベルアップを図るべく練習に励むこととなった。ブルペンに到着すると新藤は既にレガースを装着しており、いつでも受けられる準備を整えていた。

 「肩慣らしするか?」

 「うーん、大丈夫」

 体はいい感じに温まっている。軽くグルグルと腕を回してからマウンドに立つ。

 「スローカーブ」

 宣言してから投球動作に入る。肩に余計な力を入れず、ゆったりとした気持ちで腕を振る。

 ボールは一度ふわりと浮いた後、ゆるゆると変化しながら落ちていく。気の抜けた球は大きな放物線を描いて新藤の構えるミットの中へ吸い込まれていった。

 (……うん、やっぱりこの球が自分に合っている)

 今のは自分でも良い感触だった。

 肩肘張らず、回転と重力に逆らわず、ゆっくりと曲がっていく。正しく自分の性格を体現していると言っていい。

 ストレートがミットに収まった時のバシッと乾いた音も好きだけど、スローカーブがミットに収まる時の気の抜けた音も好き。

 「もう一球」

 再び投球動作に入る。投じたのは、勿論スローカーブ。スローカーブのように、今日も気張らずマイペースにやっていく。

 


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