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新しい言葉

 大きな混沌としたこの流れの中へ、わたしたちは溶けていくような。2年余りで何篇の詩を書いただろうか。それらすべてが埋もれていく。テキストの群れは膨大な水量となって濁り逆巻き、投げ込んだ一篇の文字列など速やかに呑み込んでしまう。けれど、それが心地よく感じるのは、これが大衆的であるからだろう。その他大勢に混ざることは、容易いようで浮き上がりがちのわたしたちにとっての願いでもあったから。或いは誰かの見知らぬ岸辺へと届くかも知れず、或いはその深みへと沈むだけかも知れず。深い言葉が光を放ち、ぼんやりと浮かび上がってくる。そうでないものは木の葉のように揉まれ、ばらばらになって水に溶けてしまう。幾万年幾億年経ても溶けぬものがあるとすれば、それは滅んでまた生まれるもの。霧散して後、結晶し、消化されてまた、生み出されるもの。何処かで今も生まれている。そうして目の前で消えていく。コンテンツは保存され記録媒体へ残っても、そのリアルな生まれの驚きは何処かへ逃げてしまう。放つことで確かめる生成の震えを。失われた錬金の技が、そのいのちが蘇る。技術は思想を追いかけ、何時しか思想が技術に追いつかれる。果たして同じ時間に、遠く隔てられた二つの光が平行線を描く。地平から水平へ。水平から地平へ。夜明けから夕闇へ。静けさより輝きへ。闇を越えていく二つの視線が交差する。果てしなさへと遠く放たれる光線が交わるとき、新しい言葉が生まれていく。

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