ソノ生ノ詩歌
詩です。
人生初ですご期待なさらないで下さい。
原典である、私の知り合い達(変人)には、許可を取ってあります。和歌の間違いは感想等でお知らせ下さい。古典苦手なので、多分間違ってます。
このお話はフィクションです。
始めは、丸だった。
丸が一つ、あった。
いきなり、いわれた。
「アナタハエラバレマシタ」
わかんない。でも。
えらばれたなら、もらっておこう。
あれ。さむいよ。くるしいなあ。
どこだろ。どうなっちゃったんだろ。
わかんない。でも。
「なく」きもちには、ならなかった。
どうやら、どこかで、まちがえたらしい。
まだ、丸は丸だった。
丸が一つ、寝ていた。
ふう。きょうもよくがんばった。
じぶんがツヨクなる。そんなかんじ。
「みる」というのは、とくにたのしい。
いろが、おとが、かおが、ながれこんできた。
あれ。なんでおこってるの。
なんでそんなかお。なんでそんないろ。
「みんな」が、みおろしてくる。
なんでそんなに、叩いてくるの。
どうやら、またどこかで、まちがえたらしい。
丸は、少し欠けた。
歪な丸が一つ、読んでいた。
いろいろ、知った。わかった。
どうやら、「私」は「ワタシ」というらしい。
どうやら、これはせかいというらしい。
まもらないといけないことが、あるらしい。
まもらないといけないことが、
「私」と「あなた」は、ちがうらしい。
「みんな」は、これを「生」とよび、
タイセツにしている、らしい。
タイセツ。分からない、ことばだ。
歪な丸は、パレットを飲み込んだ。
色を持った歪な丸が一つ、走っていた。
なんだ。あの人は赤いぞ。あの人はき色いぞ。
ちがう、こんなのじゃない。
私がむかし見た色は、こんなのじゃなかった。
おなじものなのに、こんなにもちがう。
いたい、きたない、せまい。これは知らない。
あんまりにも、せまいところを、走っている。
なんで走る。どこから走る。どこに走る。
走るんだ。あの色からは、にげないと。
私は、まちがってなんかいないんだ。
色を持った歪な丸は、三角になった。
色を持った三角が一つ、倒れていた。
知らないナニかが一つ、壊れる音がした。
知らないナニかが一つ、生まれる音がした。
長い時間が、過ぎて行った。
……そうだね。分かったよ。うん、全部。
私は、選ばれてなんかいなかったらしい。
昔見てた世界は、ニセモノだったんだよ。
大切な「生」とやらは、嘘だったみたい。
だって、こんな「私」は世界にあふれている。
特別じゃない。上なんかじゃない。
ただ、運が悪かった。それだけの事だ。
それだけで、片付けられてしまえる、事だ。
だって、この世界は私に嘘をついている。
輝ける、どんな色にも成れると言ってたのに。
高く見えた空も大人も、黒く見えるよ。
昔の頃の気持ちなんて、忘れる物なんだね。
だって、「生」はこんなにも軽く飛ぶ。
大人の気まぐれで、指先一つで、一瞬で。
私の「生」なんて、羽毛よりも軽かった。
私だって、飛ばした事、あるもんね。
嗚呼、この無意味で無価値な世界に、幸あれ。
英雄のいない物語は、誰の目にも止まらない。瓦楽多の隅で埃を被り、やがて朽ちていくのみ。
世界の端で生まれた命が、家族に、町に、社会に虐げらたのも、また必然。忌憚の声を浴びせられ、ボロボロの身体で逃げて、薄汚い路地裏で倒れたのも、また当然。
意識を越えた先で汚れた真理を悟り、閉じかけた藍碧の双眸が霞み掛かる、元は「丸」だった者。
「死ぬ事」さえ、掴み取るしかなかった世界に生きた、「丸」。
玉ノ緒二 抗フ丸ノ 玉ノ緒ノ程
ソノ丸ノ 程二付キタル 玉ノ緒モノカハ
どうでしたでしょうか。もし好評でしたら、続編を考えるかも知れません。