朋美
部屋を出た後、俺は今の話を考えながら自室に向かった。
確かに朋美の言うとおり、以前から俺もおかしいと思ってた。
そもそもこのバランスのシステムはおかしい、数を保たないと世界が滅ぶと言う状態は、バランスを保てる時間があまりにも限りがあるように思える。
マナが俺に伝えた事もこの世界では、一部の種族の年長者しか知らなかった。
この世界が滅ぶと言う割には、地震ぐらいしか前兆がないのも気にかかる。
もしかしたらマナには違う目的があるのだろうか…。俺には言えない何かが…。
でも、今の俺には何も出来ない。
元の世界に戻る為にはマナの願いを叶えるしか…。
朋美が見つかってから1ヶ月、彼女はやっと動き回る事が出来るようになった。
彼女は中学の頃、弓道部と陸上部を掛け持ちするぐらいの、体育会系の女子だった。
今日は訓練場で数日前港町で購入した、弓の武器を試し撃ちしているようだった。
《朋美、どうだ慣れたか?》
《うん。私達の世界とはちょっと違うけど、弓は弓だからね。慣れれば大丈夫よ。それはそうと竜巳》
そう言うと朋美は俺の手にすがりついて来た。
《うゎっ。何だよ!どうしたんだ朋美》
《あんたモンスター達にディアス様って呼ばれてるじゃない?あれってどういう事なの?私もそう呼んだ方が良いのかな…?》
《そう言えば朋美にはそこらへんは話して無かったな。バランスを保つ為、モンスター達を増やしてるって話しはしたよな。でもそれは人間には知られるとまずいから、偽名で通してるんだよ。因みに人間にはクロウの名前で結構有名だぞ。》
《何それ…。めんどくさい…もしかしてクロウって、近所の野良猫に私が付けた名前?竜巳じゃ駄目なの?)
《ははは。まぁ今の所別段困りはしないが、人間が一緒の時はクロウって呼んでくれ。相手が混乱するからな》
《うん。了解!》
そう言うと朋美は訓練場に戻って行った。




