眠れる彼女
急ぎ帰国した俺はまず家に荷物を置き、コアディアに向かった。
ディスヴィアス山脈の地下に辿り着く為、当初はかなり日数をかけ通っていたのだが、地下帝国を作る時俺の家の井戸から、コアディアに入れるように作っておいた。
《マスター、私はひとまずマスターの中で眠ります。必要な時はお呼び下さい》
そういうとクロウは俺の右手に消えて行き、紋章が浮き出た。
俺は井戸から地下に降り、コアディアの入り口の扉を開けた、するとミンディが待ち構えていて、俺に向かって会釈した。
《お帰りなさいませディアス様。お待ちしておりました》
《ただいま、ミンディ。早速だが、案内してくれ》
俺はミンディに連れられ侵入者のいる部屋について行った。
部屋の奥のベッドに女性が横たわっていた…。
俺が感じた予感通りやっぱり…侵入者は朋美だった…。
俺はベットに近寄り朋美の肩をつかみ揺らした。
《朋美…朋美…。どうしてお前がここに…何があったんだ?》
朋美は身動きすらせず、声を掛けても反応が無かった。
《ディアス様、やはりその方はお知り合いでしたか…。ディスヴィアス山脈の頂上付近に倒れていたのを、見回りのモンスターが連れて来たのです。服装からこの世界の人とは違うと思ってましたが…》
ミンディが、朋美を見つけた時の状況を説明してくれた。
治療はミンディが行なってくれたのだが、意識はまだ戻って無いようだ。
命に別状は無いようなので、数日もすれば良くなると聞き、俺は胸をなで下ろした。
俺は水晶を取り出しマナを呼んだ。
《マナこれはいったいどういう事なんだ。何故…朋美がここにいるんだ》
何時も語りかけても、中々返事が来ないが、この時はすぐマナから返答が来た。
《竜巳…実は貴方を呼ぶ瞬間。彼女は貴方のそばにいたのです…。私もまさか彼女がこの世界に来ているとは、分かりませんでした…》
《そんな事が…。マナ朋美を元の世界に戻す事は可能ですか?》
《はい…。世界のバランスが保たれた時、彼女は元の世界に戻れます。もう少しです…竜巳…》
そう言うと水晶は静まり返った。
俺は朋美の手を握りしめ、やるせない気持ちに襲われた。
眠り続ける朋美の世話をしながら、一週間程時が過ぎた。
朋美の髪型から考えて、朋美はこの世界に来たばかりなのだろう。
俺の記憶の朋美とさほど違わない髪の長さだった。
1ヶ月くらいかな…良く生き残れたよなこいつ…。
昔から順応性は高い奴だったが…。
時折朋美は意識が戻るようで、俺の顔を見て安心した顔を見せた。
それから数日して朋美はベットから起き上がれるように回復した。
《ありがとう竜巳。私を助けてくれたのね。竜巳が家に迎えに来てくれて、私が玄関を開けた瞬間、気づいたらこの山に倒れてたの。あちこち調べ回って木の実を食べながら山を下ってたら、誤って崖から落ちちゃって気を失って…タハハ》
朋美は呆れる程にあっけらかんと、事情を話した。
《お前は…相変わらずだな…死んでたかも知れないんだぞ。》
《うーん。何か本能的に大丈夫って感じがして…。竜巳がいそうな感じがしたんだもん》
《本当にお前は楽天家だよなぁ~》
俺は頭を抱えてベットの縁に押し付けた。
《あっ。でもここが私達の世界と違うってのは、すぐに分かったんだ。だって山にいた動物が、絵本とかで見た悪役みたいでさぁー。怖かったから隠れたけど…》
《お前…それはモンスターだよ。お前のその直感力はたいした物だよ…いや…動物的本能というべきか…》
俺がぶつぶつ言ってると、朋美に軽く小突かれた。
《あっ、ひっどーい。私だって竜巳の事、心配して探してたのに》
《ごめん、ごめん。良かったよ。無事で…安心したよ》
《そう。それなら宜しい……フフッフッ》
俺と朋美は目を合わせて思わず笑いあった。




