ヴィアパレス
翌日、俺達はカンデラに呼ばれ、彼の部屋を訪れた。
まずフラルがシアル石の件にたいしての、オーディの意見を伝えた。
カンデラも石の力の重要性を理解し、シアル石は両種族で守って行く事で話は決まった。
これで両種族共に諍いが無くなったので、俺の役目は終わった…俺達はその場を立ち去ろうとすると、カンデラに呼び止められた。
《待って下され。クロウ殿、貴方に話しがあるのです。残っていただきたい。》
俺はカンデラに言われ1人部屋に残った。
《クロウ殿…息子の事ありがとうございます。私が悪かったのです。種族を守る為あの子を蔑ろにしてしまいました。あの子がああなったのは、私のせいです》
カンデラは悲しそうに呟いた。
《カンデラさん…》
《ところででクロウ殿、あの武器を見てもしかしたらと思ったのですが、貴方はワンダー(放浪者)では無いですか?》
《……!!》
《やはりそうでしたか…。安心して下さい、誰にも話しません。貴方がここに居ると言うことは、この世界に何かが起こっているのですね。先日の地震で私も調べていたのですが…》
俺は少し考えたが彼に真実を話した。
《カンデラ...貴方に話すのは許されないかも知れないですが、実はこの世界は崩壊しつつあるのです。俺はそれを止める為、マナ(創造主)に呼ばれこの世界にきました。》
《何と…。そんな事が…。確かに最近頻繁に地震が…。それで…世界を救う手立てが…あ………》
カンデラは話しを途中でやめ、俺に頭を下げた。
《すまない、私が知った所で私に世界を変えれる力は無い、全てはマナの意志に委ねなければ、それがこの世界の運命なのだ》
カンデラはそう言うと静かに目を閉じた。
暫くするとカンデラは俺に一つの箱を差し出した。
《これは、我が一族が代々守りし物、昔この世界に現れたワンダーが残した物です。貴方ならこれを有効に使えるでしょう。せめてものお礼ですお持ち下さい》
そう言うとカンデラは俺の手に小箱を乗せた。
中を開けるとそこには鍵があった。
《これは…どこの鍵なのですか?》
《私もそこまではわからないのですが。今まで数多くのワンダーは、この鍵を塔に取りに来られています。きっと貴方に役立つ物なのでしょう。お持ち下さい。この鍵は貴方の用事が終われば、自然とここに戻って来る不思議な鍵なのです》
《ありがとうございますカンデラ。お借り致します》
そう言って、俺は小箱を受け取った。
その後カンデラと別れ俺は、フラルと共にウィルフリートに向かった。
ウィルフリート国は森に囲まれた、美しい国だった。
国の中央には大きな湖があり、俺はフフラルに言われ湖のほとりでフラルの詠唱が終わるのを待っていた。
【ЫеёжЭЮФЙТСЗИЙУФХЛαβμΡΘΙΤεδ】
フラルが詠唱し終わると湖の水面が波立って、水面から美しい城が現れた。
《クロウ、これが私達の城ヴィアパレス城です。さぁオーディ様に会いに行きましょう》
そう言うとフラルは俺の手を引き、城へといざなった。
城の中はクリスタルで出来たとても美しい造りだった。
異種族の城らしく、ドワーフやシルフ、エルフと行った種族が入り混じって暮らしていた。
フラルに案内されオーディの元に案内された。
《ただいま帰りましたオーディ様。無事貴方の言葉をカンデラに伝える事が出来ました。全てはここにいるクロウのおかげです》
オーディが俺達に振り向き微笑を浮かべた。
彼女は金色の髪にグレーの瞳で、とても美しく俺は思わず見とれていた。
《ありがとうございます…冒険者よ。危うく多くの血が流れる所でした。そして我が子リーフを救ってくれた。母としても貴方に感謝しても余りあるくらいじゃ…》
彼女は俺の手を取り感謝の言葉を述べた。
リーフは彼女の実子だったのか…なる程。それでわざわざフラルが侵入してまで、塔に助けに行った訳が分かった。
他国の王女を閉じ込めるなんて、民に知れたら戦争状態になるのは目に見えて分かる、それで内密に行動したと言うことか…。
《いえ。俺にも塔に行く用事はあったので、気にしないで下さい。》
俺がそう言うとオーディは更に深く感謝を述べた。
《ありがとう。もし貴方がお困りの時はいつでもいらして下さい。我が国が尽力致します。このペンダントをお持ち下さい。》
そう言うとオーディは水晶で出来たペンダントを俺に手渡した。
《このペンダントがあればこの城に入る事もでき、異種族も貴方に尽力するでしょう》
《そんな貴重な物を…、ありがとうございます。大切に使います。》
俺はオーディにお礼を言い城を後にした。
城から出た後、湖のほとりでフラルと別れをすませた後、突然水面が揺れ声が聞こえた。
《ディアス様聞こえますか?ミンディです。急ぎコアディアに戻って下さい!!》
《ミンディ!!何かあったのか!?》
《はい。侵入者です…でも、冒険者では無いようですが…とにかく急ぎコアディアに戻って下さい。》
《分かった。クロウとすぐそちらに向かう。十分に注意してくれ》
《はい、お任せ下さいディアス様》
そう言うと水面は穏やかになり、元の静かな湖に戻った。
《クロウどう思う?》
俺は隣りで話を聞いていたクロウに訪ねた。
《冒険者では無いとなると、ハンターなど別の職種でしょうか?村の人間の職種では、マスターの家までしか近づけ無いので、村人では無いようですが…》
《そうだな…。とにかく急いでコアディアに戻ろう》
俺とクロウは急ぎ帰国の途についた。
俺は不吉な予感が胸をよぎった。
この世界に来てからその予感は考え無いようにしていたが……、徐々に不安は大きくなっていた…。
まさか………。




