賢者カンデラ
翌日俺は塔の情報を集めるべく、塔の周りの町を散策した。
するとガラの悪そうな男達が俺達の後をつけてきた。
取り敢えず人気の無いところに誘導すると、男達は俺に絡んで来た。
《お前達、塔の事をかぎまわっているそうだな。余計な詮索は命取りになるぜー》
男は下品な笑い声を出しながら近づいて来た。
《マスター。ここは僕が相手をします》
そういうとディーは持っていた剣を素早く抜き、男達に先制攻撃を仕掛けた。
あっという間に男達を気絶させると、ディーは魔法を唱えた。
【真実を答えよ鏡映】
ディーが魔法を唱えると男はペラペラと話し始めた。
《はい、私達はグラフ様に頼まれ、あなた方を追い出すように言われました。一週間程前にもエルフの女が来たので、グラフ様に命令され、塔の一番上にある部屋に閉じ込めました》
男は話し終わると深い眠りに落ちた。
《凄い魔法だなディー。やっぱりあのグラフの仕業か…塔の一番上か…厄介だな…》
男達に忘却の魔法をかけた後、ディーが近づいて来た。
《マスター。私に考えがあるのですが、変化魔法で私が鳥になり、塔の一番上から侵入すると言うのはどうでしょう》
《そうだな。グラフもまさか上から来るとは思わないだろうから、良い作戦かも知れない。2人乗せて飛べるのか?》
《はい、2人ぐらいなら大丈夫です。マスター》
《フラル聞いての通りだ、なるべくグラフの隙をつくため、深夜に乗り込もうと思う。大丈夫か?》
《はい分かりました。ディーも宜しくお願いします》
俺達はその後塔の侵入経路を調べて、一旦宿屋で休息を取った。
深夜になり俺達は塔の裏側の平地に集まった。
《ではマスター、鳥に変化します。すぐに飛び乗って下さい。》
【我の姿を映し、雷鳥に変幻せよ】
一瞬眩い光がはじけ目の前に大きな鳥が現れた。
俺は鳥に飛び乗って、フラルの手を取り引き上げた。
《ありがとうございます》
《さぁ行こう、ディー頼んだよ》
そう言うとディーは塔の頂上に向かって飛び立った。
俺とフラルはディーにしがみつき頂上に辿り着いた。
頂上に降り立つと鳥はディーの姿に戻り、俺達は塔の頂上から下の階に向かうべく階段を降りた。
すると右側と左側に部屋が一つずつあり、左側の扉には格子窓がついていた。
格子窓を覗いてみると、恐らくリーフと思われる女の子が鉄の錠で繋がれていた。
フラルが格子窓から覗いて声をかけた。
《リーフ‼︎助けに来たのよ、待ってて今ここを開けるわ》
【求める光よ開錠の鍵となれ】
リーフが開錠の魔法を唱えると左側の扉が開いた。
中に入るとフラルは急ぎかけ寄り、リーフに回復魔法をかけた。
《ありがとう…フラル必ず…来てくれるって思ってた…》
リーフはかなり消耗している様子で、フラルが支えてやっと動けるぐらいだった。
彼女に話を聞くと、塔に話し合いに訪れたとき、俺達と同じ対応をされて不信を抱いた彼女は、グラフの後をつけた。
その時、彼の悪巧みを聞いてしまった為、捕まってしまったのだと言う。
彼は父親が病にかかった時、薬に少しずつ毒を混ぜ合わせ、魔法が使えないように弱らせ、向かいの部屋に幽閉したのだ。
毎日薬が運ばれて来るので、生きているのは間違い無いらしい。
とにかく早くカンデラを助け出した方が良さそうなので、俺はディーにリーフを先に連れて逃げるように頼み、別行動する事にした。
別行動を取った俺は、カンデラの部屋の扉に手をかけた。
鍵がかかっていると思っていたが、扉はすんなりと開いた。
部屋に入ると老人が、奥のベットに寝ていた。
俺はベットに近寄り老人に声をかけた。
《夜分遅くにすいません、俺はクロウ。貴方はカンデラさんですね》
すると老人は首を縦に振った。
《良かった。私はエルフ族に、貴方との話し合いをしたいと言う、伝言を伝えに来ました。》
カンデラはかすれるような声で、俺に話しかけた。
《す…まな…い。まさか…息子に…毒を…盛られる…と…は》
カンデラは苦しそうに胸をおさえた。
《大丈夫ですか?カンデラさん。待っていて下さいすぐ薬草を…》
するとカンデラが俺の手を掴んだ。
《大…丈…夫です。息子に…盛られた薬は…、飲み…続けなければ…効力は…弱まる筈なので…、数日も…すれば…治るはずです》
《そうですか、良かった。安心しました》
カンデラの手を握り返した、その時扉が開く気配がして人が入って来た。
《おやおや。父上お客様ですか…。こんな深夜に忍び込んで来る何て、盗賊と間違って殺されてもおかしく無いですね》
グラフは恐らく攻撃系だろう、魔法詠唱を始めた。
危ないっと思った瞬間、頭の中からディーの声が響いた。
(マスター私の名前を叫んで下さい!!)
俺は慌ててクロウの名を叫んだ。
グラフの攻撃魔法が俺が装着したクロウに、全て吸収されていった。
部屋はクロウが放った閃光と、攻撃魔法のせいで瞬く間に視界が見えなくなった。
《ふはははは…。人間族め!俺に隠れてコソコソかぎまわるからだ。見ましたか父上…貴方が認めなかった私の力を…》
そう言うとグラフは、カンデラがいた方向に振り向いた。
その瞬間俺の黒剣が彼の喉元でピタリと止まった。
《うぁ…あぁ…助けてくれ…死にたくない…》
グラフはガクガクとその場に崩れ落ちた。
俺はグラフを拘束すると、階下に集まって来た賢者達にカンデラが無事な事と、グラフの所業を皆に伝えた。




