陰謀
塔には全ての賢者が暮らしており、彼らは魔法や採掘などの技能を、数多く習得している種族のようだ。
但し他の種族と違い、人口は1000人ぐらいの少数民族だった。
その為人間の王族と深い関わりを持ち、魔法や採掘品などを輸出して暮らしていた。
彼ら魔法を使う種族にとって、シリア石はかなり価値がある物のようだ。
どちらにしても塔の代表者と話す必要がありそうだ。
2日間野営をしてフラルにエルフ族や他の種族の事、賢者とのやり取りなど必要な情報を貰った。
彼女の話しでは異種族の代表者は、オーディと言うエルフ族の女王で、賢者に対しては平和的な解決方法を探しているようだ。
塔の代表者はカンデラと言う年輩の老人で、今まで両国には特に揉め事は無かったそうだ。
カンデラはなかなかの人格者らしく、エルフ族の中でも親しい物が沢山いた。
だからシリア石を要求して来た賢者に違和感を覚えたらしく、代表でリーフが話しをする為塔に向かった。
しかし、数日たってもリーフと連絡は取れず、賢者はエルフなど来ていないと言われ、途方にくれたフラルは、リーフが塔に閉じ込められているのでは無いかと、俺に助けを求めたのだった。
塔の入り口に着いた俺達は、入り口付近にいた賢者にカンデラの居場所を訪ねた。
カンデラは塔の頂上におり今は病の為、面会は出来ないと言われた。
カンデラの息子のグラフと言う男が塔を仕切っている為、多種族が塔を登る事を禁止していて、自分達も会うことは出来ないと悔しそうに話した。
すると後方から中年の賢者が近づいて来た。
隣りにいた賢者が顔色を変えて怖がった。
恐らく彼がグラフだろう。
《ようこそ人間の皆様。私はこの塔の現代表者で、グラフと申します。お見知り置きを》
グラフは愛想良く俺に右手を差し出した。
《初めまして私はクロウ。彼女はフラル、彼はディーと言います。お父上のカンデラ様と彼女が知り合いで、お見舞いに来たのですが》
彼の右手を握り締め、俺は簡単な自己紹介をした。
《そうでしたか…。あいにく父は病に倒れ、今面会出来る状態では無いのです、お許し下さい。》
(そうでしたか、大変失礼を、私は暫くこの付近の宿に泊まっていますので、何かあったら伝えて下さい》
《はい、必ず。では失礼致します。》
そういうとグラフは塔を登って行った。
《マスター、彼物凄く怪しいですね》
《あぁ、俺の尋ねた賢者の怯え方も異常だった。カンデラが病気かどうかも怪しいな…》
《もしかしたらリーフもその事で捕らわれてるのでしょうか?》
《その可能性は高いな…あの感じだと…、何か俺達に仕掛けてきそうな感じがする。取り敢えず近場の宿で出方を待とう》
俺達は塔の近くにある宿屋に滞在して、相手の出方を待つ事にした。




