ミンディ
《ワンダーなる者よ。創造主に貴方の使命を伝えられました。我ら一族は貴方に尽力致します。失礼をお許し下さい》
蛇女らしきモンスターは先程とは打って変わった、穏やかな表情で俺に語り掛けて来た。
話しを聞くと彼女は水蛇の一族でミンディという名前だと話した。
数日前水中で分裂を行ったのだが、水の中で孵化した卵をハンターに持ち去られたのだと言う。
卵は薬剤として大変価値がある為、彼女の一族はかなり減少していた。
ミンディの卵を取った犯人は人間のハンターだった為、俺をその犯人と間違えたと謝罪した。
彼女の一族は水蛇の為、地下層から地表に上がる事は即ち死を意味する。
つまり水が深い地層でしか生きられない種族のようだ。
ミンディは水蛇の一族の中でも最年長の為、創造主の事は知っており、世界のバランスについてもある程度の理解があるようだった。
彼女はバランスを保つ為、地下にこもり分裂を行っていたのだが、最近では数が減少した為対して強く無い冒険者やハンターが、最下層まで降りて来られるようになってしまったのだと言う。
《私がいくら卵を作っても、私が弱った瞬間に人間が卵を奪って行ってしまうのです》
そう話したミンディは産卵場所を見つめ、彼女の瞳からは涙が頬を伝っていった。
俺は彼女の涙を拭い語りかけた。
「ミンディ…。俺はバランスを保つ為、地下に国を作ろうと思う。君達が安全に分裂が出来るように、俺が君達を守ろう。但し、俺は君達を倒す事もしなければならないだろう。世界のバランスを保つ為やらなければならないんだ…」
彼女は静かに頷き、俺の手を握りしめ答えた。
《分かっております。かの昔世界のバランスが崩れた時、人間の種族の大半が滅びました。世界のバランスが保てなければ、私も私の種族も、滅びる運命なのです。僅かでも救える希望があるのなら、私は貴方に従います》
《ありがとう、ミンディ…》
それから数ヶ月、俺は新しく作った家と最下層を往復しながら、地下帝国の建設をおこなった